コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.650 )
- 日時: 2011/07/12 19:17
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: kG5vJqWm)
- 参照: 本気出すか。
第百九十五話『疾風の言葉』
なんだか思考がボーッとしている、今日この頃。
色んな事を考えては消え、考えては消え——……。
そんな事の繰り返しだった。
「好き好き好きっ! 大好っきー!!」
そんな時、目が覚めるほど明るい声が聞こえてきた。
声をした方を見れば、志保ちゃんは壱の方を向いて好き連呼をしていた。
……って、ええええええええええええええ!?
ボーッとしていた思考がはっきりと目覚め、壱と志保ちゃんの方を真剣に見た。
志保ちゃん、壱に愛の告白……!?
なんてことだ、聖が好きなんじゃなかったのか!!
そう思っていると、
「好き優ーっ」
志保ちゃんが大きな瞳をくりくりさせて、優に向かって微笑んだ。
……え?
「……え、あ、私に言ってたの?」
優も驚いた顔で、志保ちゃんに向かってそう言った。
どうやら優も、壱に言っていたと勘違いしたみたいだ。
勘違いするよそりゃああああ!!
し、心臓に悪い……。
私は色んな意味での溜息をつき、頬杖を突こうとした。
その瞬間に、隣の席の疾風の腕にぶつかってしまった。
「……あ、ごめん」
「NO」
「え」
疾風から意味不明な答えが返ってきて、私は目を丸くした。
NOって、えええ。
茫然と固まっていると——……。
「そんな——ら、壱に嫌われ——……」
「は?」
疾風が何かを呟いた。
だけど、ちゃんと聞き取れなかった。
壱がなんだって!?
更に目を丸くして疾風を見ると、疾風は軽く咳払いをした。
「オッホン。何でもない」
「聞き取れなかったし……。ねぇ、今なんて言ったの?」
「……」
「教えてよ」
『壱』と言う単語が入る話は、気になる。
しかも疾風、『嫌われ』だかなんだか言ってたし!!
なんだか嫌な予感がしながらも、私はしつこく疾風に迫った。
しかし疾風は、無言のまま。
「ねぇ、教えて」
「……」
「教えて教
「何、そんなに壱が好きなの」
「……っ」
やっと口を開いてくれたかと思えば、痛い所を突かれてしまった。
く、くそ……っ!!
そこを言われちゃあ、私は何も言えなくなる。
「……じゃあね、壱の事諦めるならいいよ」
「!?」
疾風の第二の爆弾発言に、私はこれでもかと言うくらい目を見開いた。
諦めるって——……!!
なんでそんな事言うんだ!!
「——あ、固まった」
「う、うるさい!」
疾風に笑われ、私は素早く顔を伏せた。
じわじわと顔に熱が帯びるのがわかる。
「なーにニヤニヤしてんのよ、あっやしー奴」
「……っだー! うるせぇ!」
私は勢いよく顔を上げ、疾風を睨んだ。
疾風はドヤ顔をしながら、私を見ている。
反論したいけど、疾風は私の痛い所をどんどん突いてくる男だ。
私が何を言っても、きっと更に言葉に詰まるだけ。
そんなの、自分で墓穴を掘るようなものだ。
そう考えた私は、この時間何も言えずに俯いて過ごしていた。