コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.652 )
- 日時: 2011/07/12 20:20
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: kG5vJqWm)
- 参照: 君の中に 堕ちていく
第百九十六話『気になること』
そのまま時間が経ち、昼休み——。
今日の昼休みは、五時間目の大掃除の為に皆で掲示物回収。
もうすぐ春休みの為、学校中大忙しだ。
早いなぁ……。もう二年生も終わりかぁ……。
掲示物回収をしている間、私はふと疾風の言葉を思い出していた。
『壱の事諦めるならいいよ』
そして、壱に嫌われなんとかかんとか。
もしかして、壱は私が嫌いだから疾風がそう言ってるとか——……?
色々考え過ぎた頭は、もうネガティブの方向にしか考えられなくなっていた。
疾風は彼女もいるし、ある程度の事はもう体験済みだろう。
だから、壱よりは恋愛に関しては先輩って訳だし——。
壱と疾風は仲いいし、相談に乗ったりもしてるかもしれない。
疾風も私が壱の事好きなのも知っているし、壱自身も私の気持ちを知っている。
だから尚更、疾風はそんな事言ったのかなぁ……?
私はぼんやり考えながら、回収した掲示物を揃える。
……なんだか、人の気配が感じる気が。
私は手を止め、振り返った。
「!」
見れば、掲示物回収作業をサボって窓側でしゃがんでいる壱と目が合った。
壱の横に居る疾風や健吾もこっちを見ている。
疾風と壱……考えてる矢先にこういう組み合わせしちゃうか……。
疾風が壱に何を言うかわからないし、もし何か言われた壱が何て返すのか怖かった。
理屈とか、そういうのはよくわかんない。
だけどそう考えちゃうのは、壱に嫌われたくないからであって——……。
「……っ」
と、とにかく!
とりあえず今は、考えるのやめ!!
作業だ作業!!
私は再び手を動かし、掲示物回収作業に力を入れた。
「——じゃあ一回座れー」
それと同時に、福野が指示をし始めた。
せっかくこれからやる気出そうと思ってたのに……!!
そう心の中で思いながらも、自分の席に座った。
「——なぁ、三上」
席に座ると同時に疾風に話しかけられ、私は視線を横にずらした。
疾風は横目で私を見ている。
「水城なんですけど。なに?」
「はははっ」
何故そこで笑う。
私はそう思いながら、少し目を細めて疾風を見る。
「要件は?」
「お前にいいこと、教えてやろっか」
疾風はニヤリと怪しげな笑みを浮かべ、そう言った。
『いいこと』……?
「え、何々?」
私は軽く身を乗り出し、興味津々な顔でそう聞いた。
先程の疾風の言葉が一瞬だけ浮かんだが、それを無理矢理消去する。
『いいこと』と聞いてしまった分、何なのかが気になるのだ。
しかし、
「——……あ、やっぱやめた」
「え」
疾風は笑みを浮かべて、そう言った。
な ん だ そ れ !!
私は軽く疾風を睨み、机を叩いた。
「ちょ、教えてよ! 途中でやめんな!」
「……」
「気になるし!」
「……」
「教えろ馬鹿!」
「……」
「それでも男か!!」
私は一人でまくしたてるように叫んだ。
なんか独り言言ってるみたいじゃん、私。
疾風は私の話を無視して黙っていたが、
「……そんなに、壱の事が知りたいの?」
「はっ!?」
呆れた様な口調で、そう言ってきた。
私は驚いて、声を裏返す。
「一言もそんなこと、い、言ってないし!」
「え、何? 壱?」
「……っ!! あぁぁうるっさい!! があああああ! もういいわ!」
私は一人で叫び、再び顔を伏せた。
勢いよく伏せたせいで、おでこが机に激突する。
い、痛い……っ!!
「照れた」
疾風はさもおかしそうにそう笑ってそう言った。
その言葉に勢いよく顔を上げると、疾風のドヤ顔混じりの笑みが視界に入る。
私は顔の火照りを抑えながら、疾風を睨む。
「照れてない!! ボケてんじゃないの!」
「ボケてねぇし。何、お前ばあさんだべ」
「ばっ……!?」
……っだぁぁ、本当に腹立つな!!
私はその場で地団駄を踏み、また顔を伏せた。
気になるけどもういいですよ、あぁもういいですよ!!
ヤケクソ思考になりながら、ひたすら時が過ぎるのを待った。