コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.66 )
- 日時: 2011/01/30 00:57
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uzwOA3TN)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
第十三話『甦る気持ち』
次の日——。
今日も学校祭準備があった。
私は昨日の愛奈の言葉を一つ一つ思い浮かべながら、画用紙をちぎっていた。
その時、
「かえる食べたことある?」
近くにいた叶汰がそう言い出した。
由良と私は顔を上げて叶汰を見る。
その時に叶汰と目が合ったので思わず、
「かえるって毒ないの!?」
……そんな変な事を、口走ってしまった。
言った後で後悔した、なんでかえるに毒があるんだよ。
そう思いながら顔を隠した。
「毒あったら今頃俺、死んでるから」
叶汰がそういうので、顔を上げてみると。
叶汰は可愛らしい無邪気な笑みを浮かべていた。
私は何だか嬉しくなり、「そうだよね」と笑みを返した。
「——あー、つか前髪邪魔。由良、俺のバックのケースからピンとって」
「これ?」
「ん、さんきゅー」
叶汰はそういいながら、前髪を止め始めた。
ケースの中に入っているピンは、溢れるほど入っていて。
思わず、私は目を見開いてしまった。
「これ、何個あるの?」
「いっぱい」
思わず叶汰に質問すると、叶汰は笑みを浮かべて返してくれた。
あぁ、なんか少しずつ会話できてる?
これも愛奈のお陰だよねぇ……。
愛奈に感謝しなくちゃ。
私はそう思いながら、画用紙をちぎった。
**
しばらくすると、皆作業に飽きてきたのか雑談をし始めた。
その中で、由良と叶汰はエロバナに走っていて。
何故か私にも話が振られ、三人で話していた。
「エロ画像さ、叶汰に送ってあげよっか?」
「マジ? じゃあ送って送って」
由良と叶汰は、男女の中でもダントツな変態だ。
なので二人は、意気投合している。
私はそんな二人のやりとりを見ていて、思わず質問してしまった。
「そういうのってさ、どうやって入手するの?」
「あ、とる気だ」
今思えば、口走った質問だ。
そう気づくのも遅く、叶汰はニヤリと笑みを浮かべた。
同時に、私の顔は赤くなる。
「ち、違うしっ! とる気なんかなくて、その、あの! き、気になっただけ!」
「……ふぅん?」
「な、何だその顔!!」
我ながら、見事な慌てっぷりだ。
叶汰は笑みを浮かべながら、横目で私を見る。
その顔に、私は思わず怯んでしまった。
「——……あー、俺一回休憩するわー! 貼り絵飽きた」
私の気持ちとは裏腹に、叶汰は伸びをして立ち上がった。
そして新聞係の方へ行ってしまった。
私はその背中を見ていると、由良が小さく耳元で囁いた。
「——依麻、叶汰と付き合えば?」
「エッッ」
思い切り変な声が出た。
見れば由良は、小さく笑みを浮かべている。
「なにその声」
「だっ、だって! つ、付き合うとか未経験だし、まだ叶汰と全然話したことないし……っ!」
かなり焦ってる、私。
顔もきっと赤いだろう。
「……そうだよねー。てか、私が叶汰と話してるもんね」
由良はそう言って、私の肩を叩いた。
なんか、由良にバレてるような気がする。
叶汰が好きってことが——。
……いや、まさかね?
「休憩おーわりっ」
しばらくすると、休憩を終えた叶汰が戻ってきた。
そして私たちの近くに座る。
由良は「おかえりー」とつぶやき、私は机に散らばった紙を除いていた。
その瞬間、
「ふぎっ!?」
「あは、とれた」
叶汰に頭のカチューシャを取られた。
その瞬間に、流の顔を思い出してしまった。
小学生時代の時——。
流は、よく私のしていたカチューシャを取って遊んでいた。
叶汰の笑顔が、あの時の流と被って。
私は思わず、叶汰から目を逸らしてしまった。
「……おい、のりとって」
叶汰は私の気持ちには気づかず、そう呟いた。
私は近くにあったのりに手を伸ばし、叶汰の顔を見ないようにして渡した。
するとその時、叶汰と軽く手が触れた。
「……っ」
ドキン、と胸が高鳴る。
その気持ちに、嘘はつけなくて。
私はすぐに手を離し、何事もなかったかのように作業を続けた。
——なんか、複雑。
怜緒が好きだった時は女子が敵みたいなもんだったし、友達も少なかったから恋愛を優先できた。
だけど今、こうして大切な友達が出来た。
だから恋愛も友情も、選べないよ。
由良、ごめん——。
叶汰への気持ちが、広がっちゃった。