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Re: *叶恋華* +実話+ ( No.77 )
日時: 2011/01/30 05:42
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: uzwOA3TN)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

第十九話『膨らむ気持ち』


「叶汰にさ、依麻のことエロくするなよって言われたけど、もううちらのせいで依麻エロくなっちゃったよね」
「うんうん」
「え、ちょ」


次の日の朝。
水城依麻。
いきなり、状況が読めません。
私、変態決定ですか?


ていうか、叶汰が……?


「な、なんで?」
「なんかぁ、叶汰がお前らが何かやばいことしそうだからだって」


そ、それは……。
なんか嬉しい、けど。
なんか、複雑な気分です。


**


音楽の時間。
音楽担当、鈴井ちゃんの授業。
学校祭の為の合唱コンクールに近づいている為、合唱練習をしていた。


「はい、じゃあ口と目をこうして、んぉおおおおおおおおおおお」


そう言って口と目を見開く鈴井ちゃんは、言い表せられないほど顔面が変形していて、崩壊して物凄く面白い顔になっていた。


「はい、口を開けてふぉー、ふぉー。皆もこうしなさい、んほぉぉぉぉぉぉおおお」
「ぶっ……ちょ、鈴井ちゃん……っ」


やめてください、その顔……っ!
ツボった、ツボにハマったよ。
笑いが止まらなくなって、私は歌えない状況になった。


その瞬間、


「オラァ、えまぁっ! ちゃんと歌えっての!!」


どこから共なく現れた福野に、思い切り怒鳴られた。
私は一気に硬直し、慌てて歌う。
くそ、なんで福野が居るんだよう……。
福野って国語教師だよね!? 何故何故何故!?


「ほぉーほぉーほぉーんほぉぉぉおおお」


私が疑問に思うのと同時に、鈴井ちゃんはまだ変顔をしていた。


**


昨日、愛奈に暴露してから。
壱の姿ばっかり目で追いかけていた。
話し掛けれないから、せめて存在を確認させる。
無理矢理に壱を見てるから、壱と目が合う気がする!!


「……」


くぅぅ、かっこいいね!
よし、これを続ければ私の存在を気付いてもらえる!
私はそう思いながら、壱の姿を陰で眺めていた。


**


放課後作業。
私はいつもの席に座り、作業をしようとした。
が、


「ぬぉっ」


突然椅子が動いた。
いや、動かされた。
見れば、叶汰が私の椅子を引いていた。
慌てて振り向くと、隣の叶汰笑ってる。


「……椅子引いたしょ?」
「引いてないってー!」
「嘘だ!」
「マジだって!」


そう言って叶汰は、笑顔のまま逃げていった。
……これは、叶汰を追いかけていいのかい!?


「……ふふっふふふ」


よっしゃ! 水城依麻、やったるでー!
私は腕まくりをし、気合を入れて叶汰を追いかけた。
叶汰は私に合わせて、ちょこちょこ動く。


「絶対椅子引いたよね?」
「引いてないって」
「嘘でしょ」
「嘘じゃない」


叶汰は無邪気な笑顔を浮かべ、そのまま全力疾走で逃走した。
は、早っ!!!
さすが陸上部……。簡単に逃げられた。


「……もう……」


ドキドキがハンパないんですが。
私はその場で立ち尽くし、叶汰の見えなくなった後姿を見つめながら教室へ戻った。


**


「叶汰と付き合えってー!」


教室に戻ると、由良が大声でそう言ってきた。
私は慌てながら、由良に近づく。


「は、はぁ!?なんでさ」
「いや、だって。依麻告れ」
「無理無理、由良が告りなよ」
「私は先輩が好きなんだもん」


よく言うよ……。
この前まで、叶汰が好きだったのにさぁ。
私はそう思いながら、席についた。

「ふぅ……」


すると叶汰も帰ってきて、いつもの席に座る。
思わず叶汰の方見たら、目が合った。


「……っ」


私の鼓動は、相変わらず高鳴っていた。


**


帰り。
優と私と愛奈は、玄関の前で固まって雑談をしていた。


「彼氏ほしーい! 先輩と彼氏になって……ふふふ」


由良はそう言って、怪しげな笑みを浮かべた。
彼氏……かぁ……。
私もほしいよ、切実に。


「ふふ」


恋に関しては乙女な優はというと、少し笑みを漏らしただけだった。
実は優は最近、失恋したのである。
だから、恋バナは禁句だけど……由良……。



「……」


——でも、もし叶汰が彼氏になったら?
叶汰はちょい意地悪だけど、付き合ったら色々楽しそう……あは、なんちゃって。


もし、壱が彼氏になったら?
クールでシャイだけど、なんだかんだ優しくて、初々しいカップル……ぎわーっ!なんてねなんてねっ!


やばい、叶汰も壱もかっこよすぎる!
私の妄想は、風船のように膨らんでいくばかりであった。


すると、


「叶汰が彼氏だったらなぁ……」


優がそう呟いた。
な ぬ ?
優は、叶汰の元カノかつ幼馴染だよね?
……まだ、好きなのかな……?


「ねぇ〜! 叶汰いいよねぇ〜」


由良も意見に同意し、笑みを浮かべた。
うひゃ、完璧三角関係……じゃなく四角関係だね。
優と叶汰、最近仲良いし。
私なんかが、幼馴染&元カノに勝てるわけがない、うん。


でも、いいんだ。
私は応援しながら、恋をする。


それで、いいんだ——。