コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *叶恋華* +実話+ ( No.98 )
- 日時: 2011/02/04 23:16
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: f/UYm5/w)
- 参照: 揺られ酔って 逃げようと 足掻いてたby.愛迷エレジー
第二十話『朝の出来事』
次の日の朝——。
私は重い目をこすりながら、教室に入った。
そう、今日は朝から貼り絵の作業……なんだけど。
朝が弱い私には大変迷惑な事でもあって。
まぁ、もう少しで学校祭だからさ、早く完成させなきゃいけないんだけど——。
「眠 い」
「依麻起きろーっ! ほら、早く作業作業っ」
朝から由良は元気です。
羨ましいぜ、若いってのは。
あはは、縁側でお茶すすりてぇ〜……って何言ってるんだ私。
「——俺こっち行くわー」
「っ!?」
そんな時。
カバンを置いた叶汰が私の隣に来て、作業をし始めた。
その時に叶汰の腕が軽く私の肩に当たり、同時に私の眠気は一気に覚める。
「ひーはーっ」
「お、依麻元気になった」
勢いよく作業し始めた私に向かって、由良は笑いながらそう言った。
元気になりますともっ! 頑張りますよ〜!!
「仕事を下さい、水城なんでもやりますよーっ」
私はその時間、命令に従うロボットみたいに細かく動いていた。
**
「んじゃあ学校祭食券配るぞー」
福野の声が響き渡り、一人ずつ名前を呼ばれて食券が渡される。
私と由良と優は食券を受け取った後、愛奈の机の周りに集まった。
私は愛奈の席に行くとき、一つの席を視界に入れた。
——壱の席——。
「……」
壱は今、窓の方で男子と話してるけど。
私の目は、しっかりと愛奈の後ろの壱の席を捕えていた。
「——俺さぁ、食券九百円分買ったよ」
少しボーッとしていると、横から大きな声が聞こえてきた。
見れば、私の隣に居る由良が男子と話しているようだった。
「うちら四百円だよね? 依麻!」
「え? あ、うん」
私たち四人は、おにぎりとケーキとジュースを買って四百円だった。
……それにしても、男子サン。
九百円とかすごいなぁ……。
「壱とかすごいよ、俺より多い九百五十円!」
「っ!」
「すご!」
突然男子の口から壱の名前が出た為、私は少し反応してしまった。
そんな私を差し置いて、由良と男子は笑みを浮かべていた。
「——ね、壱〜!」
「ん?」
男子が壱を呼び、壱はこっちに向かって近づいてきた。
私は思わず壱の方を見つめてしまった。
……本当に、学ランがよく似合うこと……って、そうじゃなくて!!
壱がどんどん近づいてくる。
あと数メートル。
数センチ——……。
「オラ、席座れよー!」
福野ぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!
なんで壱が来ようとしたときに大声出すの!?
「……じゃあ座るかー」
「依麻、早く座ろ」
あぁ、壱が遠のいていく……。
せっかく話せるかもしれないチャンスが——。
見るも無残に、遠のいて行った。