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Re: 指先女子高生⌒Y⌒∮* ※いめそん(仮) ( No.15 )
日時: 2011/02/02 10:15
名前: 愛芽 ◆NqnIZqOf5M (ID: CFE7lDA5)

@03/.*



《おい、女の子が落ちたぞ!》


《誰か先生を…っ!》




何…?

何が起きたの…?


よく聴こえないよ…








私はグッタリしたまま、意識を失った。
それからの記憶は、もう無い。








「—軽い脳しんとうですね」


見知らぬ声で目が覚めた。
目が覚めたといっても、視界はぼやけてはっきりとは見えない。

「あれ…。ここは…?」

見知らぬ天井。綺麗すぎる壁。
一発でわかった。私はあの後病院へ運び込まれたのだ。

「あら、未奈美、目は覚めたの…?」

お母さんの声。
いつもより、か細く、頼りなく聴こえた。

「あなたが3階から落ちたっていうから、飛んで来たのよ…」

私達の学校は、1階が職員室や保健室、
2階が1年生の教室で、3階が2年、4階が3年、という造りになっている。

「坂西東君、だったかしら?ここまで運んできてくれたの」

東先輩が…
想像するだけで私の顔が一気に赤くなった。

「所々打撲もしてますし、一応今日は様子を見ましょうか」

医者はそう言うと、部屋から出ていってしまった。

「…ジュース買ってくるわ。何でもいい?」

お母さんも、私の返事を聞かないまま、部屋を出てしまった。
私は知らない部屋に一人取り残された。何とも言えない孤独感が増す。

その時。



コンコン…


窓からノックをする音が聞こえた。

「櫻…!?」

櫻は何か口をパクパク動かしている。


“お 見 舞 い に 来 た”


意味を読み取ると、私は急いで体を起こした。

「ったぁ…!」

とてつもない激痛が全身に走る。
頭が割れるように痛い。


“大 丈 夫 ?”


このままじゃ起きることもままならない。
窓はすぐそこなのに。


《届けっ…届け…》

手をめいいっぱい伸ばす。




《もう少し、もうスコシー…》


まだ届かない。





《モウスコシ、トドケ、ヒラケ—…》






その時だ。


のばした右手の人差指から、電光のようなものがキラキラ出たかと思うと、



『ギギィ…』

古くきしむような音がし、窓が開いた。
私の体に衝撃が走る。
全身の痛みなど、消えてしまうくらい。

理由は一つ。

  
窓が、“触れてないのに開いた”からだ!



そのことに気づいていない櫻は、ずかずかと病室に侵入してきた。

「見舞いに来たよーっ…、あれ?口が空いちゃうほど嬉しかった??」

櫻は、コンビニの袋からサンドイッチを取り出すと、枕元の
テーブルにドサッと置いた。

「未奈美の好きなハムサンド!買ってきたよっ」

櫻は遠慮なく缶ジュースのプルを開け、ごくごくと飲み干すと、
何も言わない私に言った。

「…そうそう、輝太も連れてきたのっ」

抜群のタイミングで、輝太がよろよろと入ってきた。

「おい、大川、俺をさんざん踏み台にしやがってっ…」

「しょーがないでしょ、私一人の背じゃ届かなかったんだから!」

ギャーギャーと言い合っている二人を、迷惑そうに他の患者さんが睨む。






今のは何だったんだろう…


私はさっき窓に延ばしたほうの手のひらを見つめた。
とくに変わったところはない。



うん、たまたま風でも吹いたんだろうな。そう思っておこう。



私はよくわからない気持ち悪さを吹き飛ばすため、
櫻のくれたハムサンドに思い切りかじりついた。



これが、これから起こる事の発端であるということを、まだ誰も知る余地はなかった—