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Re: 指先女子高生⌒Y⌒∮* ※キャラ募集かけます! ( No.39 )
日時: 2011/02/11 21:16
名前: 愛芽 ◆NqnIZqOf5M (ID: CFE7lDA5)

@05/.*

「ねえ、たいへーん!!」

私は教室の引き戸を引くと同時に、大きな声で叫んだ。

「…あれ?頼まれ事は終わったの?」

校則違反のド派手ピンクな携帯から目を離さずに言ったのは櫻。
余裕の表情で、ぽちぽちと指を動かしている。
他人の机の上に腰を下ろそうが、おかまいなし。

「あ、うん、まぁね」

私はあの後、ちゃんと体育館へと資料を運んだ。
先生には『順番がバラバラだ』と苦笑いされたけどw

「それよりさあ、聞いて!私ね—…」







《この“力”の事を言ったら、櫻はどんな顔をするだろう?》





一瞬、私の頭の中を言葉がよぎる。






『キモチワルイ』って言って去ってしまうかもしれない。


『嘘付き』って嫌われるかもしれない。






「何?どうしたの?」

櫻が心配そうに私の顔を覗き込む。

私は喉まで出てきた言葉をグッと飲み込み、
「やっぱなんでもない」と笑って見せた。





櫻にだけは嫌われたくない。





—だから、この事は私一人だけの秘密にしよう。




これが今の私の精一杯考えた末だった。





「ふーん、変な未奈美」

櫻は皮肉らしく言うと、クスッと笑った。
私もつられて笑う。







今はこれでいい。






もう、私は普通の女子高生ではなくなったけど








櫻とこうして一緒にいれるなら、何も言わないよ—







その時、




《♪〜♪〜♪》


櫻の携帯から軽やかなメロディーが響いた。
今大人気のJポップグループの新曲だ。


「ん?誰からだろ」



櫻は携帯の画面を見るなり、硬直した。
右手で口を抑えながら。

「え、ナニナニっ!?」

思わず私も画面を覗き込む。
そこには、信じられない文章が書いてあった。
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Re:櫻ちゃん
題名:無題

俺、同じ学校の女子と付き合うことになった!
トイレから出た直後に告られた(爆)
すごい嬉しいw
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「え…?」

ガラガラと音を立てながら何かが崩れてゆく。
そんな感覚だった。

「そんなぁああぁぁああぁっっ…!!」

思わずガクッと膝を落とす。
これっ、て、失、恋って、やつ、だ、よね…?

「あはは、未奈美どんまいw」

櫻がアッハッハと爆笑しながら、私の背中をバンバンと叩く。
さっきの表情は、演技だったんですかあー!?

「んにしても、誰なんだろおね」

櫻は笑いすぎて出てきた大量の涙をぬぐうと、
首をかしげながら言った。

「最悪…」

私はヘナヘナと尻もちをつくと、声にならない声で呟いた。
きっと、『腰が抜ける』ってこういう事。

「ま、ダメだったもんはしょーがないよ!
 新しい奴見つけなっ」

櫻はきっぱりそう言いきると、
グダグダしている私に一喝入れた。

「せんぱあーい…」

思わず先輩の幻覚へ手を伸ばす。
腕をつかもうとしても、スッとすり抜けるだけ。

この時の感覚はあの事故の状況に似ていた。
辺りは闇。真っ暗で、何も映さない闇だ。

「おーい、席に着けー」

その時、平村先生が教室へはいってきた。

「ホームルーム始めるぞー」

私はフラフラと席に着くと、『はぁ』とため息をついた。





《最・悪》

シャープペンで机にそう落書きした。
このたった2文字が、頭の中をくるくる渦巻く。

「早速出席取るぞー。じゃあ1番赤坂ー…」

気を紛らわすため、思わず外を向く。
晴々とした太陽は、まるで闇に差し込む一本の光の筋。


《人生で一番来ないで欲しかった日だ…》


私は目を虚ろにし、そのまま机に突っ伏した。