コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 指先女子高生⌒Y⌒∮* ( No.66 )
- 日時: 2011/03/17 19:09
- 名前: 愛芽 ◆NqnIZqOf5M (ID: CFE7lDA5)
♯02/.*
「まず卵と牛乳をバターと混ぜ合わせて…190℃で15分か」
そういえば、一人でお菓子を作るのって初めてかもしれない。
材料を混ぜれば混ぜるほど漂う甘い香り。
どこか懐かしかった。
私は空白の15分の間に、トレーシングペーパーの上にデコペンでいびつなハートマークを描いてみた。
「ああっ、またはみ出ちゃった…;;」
焼けたマフィンの上にハートマークを小さく飾り、
赤色がベースの袋にいれ口を結んだ。
「〜できたっっ!」
焼けたマフィンは正直とてもキレイとはいえなくて
ハートもいびつだし、味もプロ並みなんかじゃないけど…
「後は…」
私は少し恥ずかしい気持ちを抱え、makeを開いてみた。
「今はこういうのが流行ってるんだ…」
ペラペラとページをめくる度に現れたのは、流行のファッションを身に纏ったオシャレなモデル達。
私は早速ドレッサーの前に立ち、髪型を真似してみた。
「駄目…何度やってもモッサモサだ…」
思い切ってオサゲをほどき、顔の横にまとめようとしても、くせ毛が祟ってうまくまとまらない。
「〜っ、もう一度やり直し!」
ほんの少しでも可愛くなれたら、貴方に告白する勇気が持てるような気がして———。
私は制服の胸ポケットに入っていた携帯を開き、
奏君のアドレスを開いた。
《明日、放課後残っててもらえますか?(>_<)》
情けない、指が震えてる。
私は何度も打ち間違いながら、結局最後まで打ち切った。
《送信しますか? Yes/No》
「返事来ますようにっ」
思い切ってボタンを押す。
《送信しました》—…
自分でピリオドを打つんだとか高らかに謳ってたくせに、たった17文字に後ろめたさを感じたのは事実。
だけど、もう逃げないよ。自分にも、あなたにも。
私は折角ちょっとキレイにまとまってきた髪をほどき、ベッドに倒れこんだ。
「受け取ってくれたらいいんだけど」
今夜の月はとても明るく、私の頬を照らした。