コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 指先女子高生⌒Y⌒∮*※参照400突破!! ( No.69 )
- 日時: 2011/03/20 15:54
- 名前: 愛芽 ◆NqnIZqOf5M (ID: CFE7lDA5)
♯04/.*
「マフィンはつぶれちゃったし…どーしよう」
私はトボトボと歩きながら時折そんなことを呟いてはため息をついた。
髪の毛はタオルで拭きとれたからいいけど、マフィンは二度と元には戻らない。
「はぁ………」
その時。
ドンッッ!
「きゃっ!」
「おわっ!?」
誰かにぶつかってしまった。
「ごっ、ごめんなさい」
「や、こちらこそ…って、日向!?」
え、なんで私の名前を?
私はスカートについた砂を払うと、急いで正面を見据えた。
「え!奏君!?通学路違うよね?ていうか、なんで学校と反対方向に…」
「いや、忘れ物しちまってさーw」
あれ…もしかしてメール見てないのかな。
私はメールの事には触れず、「奏君らしいね」と返事を返した。
「うるせーwっていうか、髪湿ってんぞ??」
あ…。
一瞬、さっきの出来事がフラッシュバックした。
『ブスは何したって変わんねえんだよっ!』——。
「ほんとだっ今朝髪の毛濡らして梳いてたから…寝癖がヒドくてねー」
奏君だけには勘付かれたくない—。
私はいかにも今気付いたかのような素振りをした。
「…嘘付いてない?」
奏君が怪訝な顔をしながら尋ねる。
「ついてないよー!ドライヤーで乾かすの忘れちゃってただけ」
すると、フッと奏君の顔が私の顔に近付いてきた。
触れるか、触れないか瀬戸際ぐらいの。
「えっ、あのぉ…」
「コーラの匂いがする。コーラのヘアエッセンスなんてないよね?」
突然口調が変わったのと、ほわっと香るシャンプーの香りにドキッとした。
奏君て、こういう子だったっけ…。
「それはっ…!!」
奏君は私から離れ元の位置に戻ると、じゃあと尋ねた。
「さっき見えたんだけど、カバンの中に入ってるそれは何なんだ??」
「っ!」
私はハッとしたようにカバンのチャックを閉めた。
もしかして、開けっぱなしだった…!?
「あはは…。やっぱ奏君は騙せないね」
私はひそっと呟くと、おもむろにメガネを外した。
「日向、ってことは——」
「本当は奏君にあげるつもりだったんだよ。このマフィン」
私はカバンからぐちゃぐちゃのマフィンを取り出し、奏君に見せた。
「でもさっき中学時代の同級生にバッタリ会ってね、言われたんだ。
—…ブスは何しても変わんないんだってさ」
私の目には、すでに涙がたっぷりと浮かんでいた。
嗚咽の交じった声に変わってゆくのが、自分でもわかる。
「私、実は今日奏君に告白するつもりだったの」
「…!!!!」
「ちょっと髪型変えてみたり、メイクに挑戦してみたら、好きって言えると思った。でももう—————………。」
フワッ
私が言い終わらないうちに、奏君が私を抱きしめてきた。
「え…?」
「日向は、全然、ブスなんかじゃ、ねえよ」
慣れない言葉を発しているせいか、奏君の声は途切れ途切れ。
「うん……」
私、夢でも見てるのかな。
——それでもいいや。奏君の腕の中、とっても暖かい。
「それでな」
「うん?」
「もしかしたら、もしかしたらだけど、俺も日向の事好きなのかも…」
私を放し、奏君が真っ赤になって呟いた。
「えぇぇ…!!!!!」
私は思わず自分のほっぺたを強くつねった。
いひゃい、夢じゃない!
「あはは、何やってんだよーw」
奏君が私のほっぺたに触れながら笑った。
体の温度が急に上がったみたい…。
「奏君、ぜったいマニアックだよぉ……」
「————知ってる♪」
奏君はそう言い、もう一度私を抱きしめた。
「私—…」
メイクの力を借りなくても、マフィンの力を借りなくても。
今なら胸を張って言えるよ。
「あなたの事が好きです!!!」
