コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 指先女子高生⌒Y⌒∮* ( No.75 )
- 日時: 2011/04/26 21:38
- 名前: 愛芽 ◆NqnIZqOf5M (ID: CFE7lDA5)
@10/.*
「…いっ、いってきまーす……」
…もちろんお母さんに『私は高校生だ』といっても信じてもらえるワケがなく。
というか、逆に心配されちゃったよ。
私は仕方なくピカピカの赤いランドセルを背負い、複雑な気持ちで家を出た。
「———桜もすっかりなくなったな」
輝太が天高くを見上げ呟いた。
横顔がどことなく“高校生の輝太”の面影を残している。
ドキン…
え?
どきん?
DOKIN?
土金?
…たまたまだよね。
「あのさ、私実は—…「みーなーみいっ!!!!」
「え!?櫻!?」
「あ、大川じゃん、おはよー」
「二人とも朝からラブラブだね〜♪」
櫻(小学生ver.)が黒いポニーテールを揺さぶりながら私達を見比べる。
「「は!?!?」」
私と輝太の声がハモった。
「冗談だってばwwアタシ先行ってるね」
櫻はニヤけ顔を残したまま私達の前から姿を消した。
それと同時に私達の間に沈黙が流れる。
私はふるふると辺りを見回してみた。
あの酒屋さんは後から某コンビニに変わるとか、
あの小学校は5年後に廃校になるとか、そういう事を考えながら。
—…変な感じ。未来予知者になった気分だ。
ついに沈黙に耐え切れなくなった私は、さっきの櫻について
話題を持ち出した。
ただ、この話題がとてつもなくまずかった。
「…櫻はやっぱ変わってないねw」
「変わんないって何が?」
「高校生の時と変わってないってこ…あっ!」
思わず口を押さえる。
「何言ってんだ…??」
輝太がけげんな顔をして私を見つめる。
「あ、幼稚園の時から変わってないってことだよ〜。あはははは」
私はわざとらしい笑みを言葉を並べ、その場をごまかした。
「ふーん」
輝太は生返事を返すと、それきり黙ってしまった。私もつられて黙る。
なんで“10年前”に戻っちゃったんだろう?
昨日の晩は輝太からメールが来て、アルバム見て…
たしか、小学1年の遠足のアルバムだったよーな…
でもなんで?
もしかして、私がアルバムの写真に触れたから——…!?
私は“指先女子高生”
タイムスリップしたのは触れた写真の中の“小学1年生の自分”
つじつまは合うよね…?
でもそんな非現実的な事っ…!!
ヒゲンジツテキナコト?
あ わかった気がする
私の“エスパー”という『非現実』と
“タイムスリップ”という『非現実』が奇跡的に重なって
今ココに“現実”として『存在』してるんだ—————…!!!!
「…どうしたんだ?」
輝太が放心状態の私に心配そうに尋ねる。
瞬間私も我に帰った。
「あ、ううん!それより、遠足まであと何日だったっけ??」
「明後日だけど」
「じゃあ、あと3日か…!」
ここまでの私の推理が正しければ
私は遠足のある『明後日』に帰れるはず!!
…もちろん、帰り方はわかんないけど。
「おやつは300えんまでなんだぞ!」
「わかってまーすっw」
輝太の幼い一言に、私は思わず噴き出した。
19××年、5月2日。
真新しいランドセルを背負う高校生の私が今ここにいる—…。