コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

#3 ( No.10 )
日時: 2011/03/06 07:03
名前: 美桜 ◆QfbalvjOYM (ID: prO3xdH6)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

#3

 美紗樹が目を覚ますと、そこは静かで白い部屋だった。目を凝らし、もう一度よく見ると、それは病室だということが分かった。-----そうだ、私怪我した…怪我させられたんだ。美紗樹は、薬品のかかったお腹に手を当てる。包帯は巻いてあるが、見かけほど大したことはないようだった。同じように、強く打った頭の方にも手を当てる。こちらも、包帯は巻いてあるが、どうってことはないようだった。
 ふと、美紗樹は自分のベッドの隣にある机の上に置かれた手紙に気がついた。それはピンクの花がらで、水色のペンで「美紗樹ちゃんへ」「莉子より」と書かれていた。美紗樹は迷った。

 (莉子ちゃんも私に怪我させたかったの… ?)
 それでも、美紗樹は手紙の封を切った。確かめたかったのだ、自分を受けて止めてくれる、そんな人がいるのかを。

 『美紗樹ちゃんへ。今日はゴメンなさい。私がヘマしたからダメなんだよね…。あ、あと、良かったらお友達になってください !! 私、あまり仲良い友達がいないので…。では、また学校で。莉子より』
 お友達、か。美紗樹が小さく呟く。美紗樹は決して、友達がいないわけではない。テレビに出ているような、女優や俳優の友達はいる。只、学校での友達は、叶斗以外いない。いらないわけではない。しかし、美紗樹は聞いてしまったのだ。-----自分の陰口を言う、クラスメートの声を。それっきり、美紗樹は学校では必要以上に喋らなくなった。いつか、自分を認めてくれる、誰かを期待しながら……。
                           ・ ・ ・
 (莉子ちゃんのこと、信じてあげたい。でも、アイツ等とつるんでいるし…油断できないわね)
 アイツ等、というのは、莉子の友達である、葉月と暦だ。美紗樹の陰口を言った、張本人である。噂によると葉月と暦は、美紗樹以外の少し有名になった人の陰口を言うらしい。でも、一緒にいる莉子のそんな噂はなかった。
 手紙を折りたたみ、封筒に入れて、元にあった場所へ手紙を置いた。美紗樹は何をするでもなく、ぼーっとしていた。何かを考えているわけでなく、白い壁をただひたすら見つめたいた。

 コンコン。
 少しして、病室の扉をたたく音が聞こえた。「はーい」と美紗樹が返事をすると、ガラガラ、と音をたて、美紗樹の母綾子が入ってきた。

 「美紗樹ちゃん !! 大丈夫 !? 怪我の具合は ?」
 慌てふためきながら、綾子が美紗樹のもとへ駆け寄った。

 「お母さん…。今日仕事じゃなかったの ?」
 「そうだけど…お母さん、美紗樹が心配でさ。仕事中断してもらった」
 と、綾子がほほ笑むと、無表情だった美紗樹の顔が、怒り顔に変わった。

 「どうして !? 今日の撮影って映画なんでしょ !? 私の怪我、大したことないから明日退院できる、ってさっき看護師さんが来て言ってたから。早く戻ってよ !!!」
 「そ、そう。じゃあ、お母さん戻るね」
 そう言って、綾子は病室を出て行った。

 (また強く言っちゃった…)
 美紗樹はそう後悔しながら、また軽い眠りについた。







 続く