コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- #4 ( No.14 )
- 日時: 2011/03/06 17:37
- 名前: 美桜 ◆QfbalvjOYM (ID: 607ksQop)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
#4
美紗樹が目を覚ますと、時計の針は八時を指していた。机の上に置かれたご飯は冷え切っていたが、食欲を抑えることができず、少しずつ口に運んでいった。少しすると、コンコン、と扉をたたく音が聞こえた。またお母さんか…と思い、美紗樹が返事せずにいると、ガラガラ、と誰かが病室に入ってきた。
「よ ! 美紗樹」
「叶斗 !? 知ってたんだ…」
「うん、夕方に綾子さん電話あってさ。すぐに行きたかったけど、大したことないみたい、って綾子さん言ってたし、俺も仕事中だったしさ」
綾子さん、と叶斗は言う。叶斗にとって、美紗樹の母綾子は先輩であった。
「そうなんだ。なんか、ごめんね。心配かけちゃって」
「いーって !! んで、いつ退院できんの ?」
「明日にはできるだろう、って」
「そっか。じゃあ明日学校行くだろ ? 俺明日休みだし、迎えに来るわ」
「うん、ありがとう」
そのあと少し話すと、叶斗は家に帰っていった。
(叶斗は優しい…。本当の友達だものね。でも、私はそれ以上の関係になりたい)
美紗樹は叶斗に恋していた。叶斗に会った、あの日から……。
「続きまして、NO 58和美紗樹ちゃんです」
それは、一三年前-----美紗樹と叶斗が三歳の時だった。美紗樹は、母に言われるがままに、子役のオーディションを受けさせられた。その時、彼-----七瀬叶斗に出逢ったのだ。
「『あたしね、大人になったら優君の結婚しゅるの !』」
美紗樹の頭の中には、まだあの時の台詞を覚えている。この台詞は、相手役の叶斗-----優に向けられた台詞だった。しかし、美紗樹はこれを本心から言っていた。-----三歳で一目惚れ、初恋だった。
「『うん !! 絶対結婚しような !!!』」
この時の美紗樹は気づかなかったが-----いや、今の美紗樹も気づいてはいないが、叶斗もまた美紗樹に惚れていた。今も、二人は両想いなのだ。
(そろそろ寝よう…。明日は叶斗が来てくれるし)
翌朝。
目が覚めると、時計は七時。約束の時間まであと四〇分。美紗樹は制服に着替え、朝ごはんを食べ、ベッドに座って叶斗を待った。約束の五分前になると、叶斗がやってきた。
「よっ♪ 行こっか」
「うん !!!」
この時の二人の頬は、薄くピンクに染まっていた-----…。
続く