コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: フラワーガール!!〜人形と花と能力者と〜 ( No.52 )
- 日時: 2011/08/12 11:58
- 名前: 未来亞 (ID: jkpAQDpo)
第二十九話。
「キレてしまった…」
家の裏で私はため息をついた。
自分自身、こういうことは久しぶりで…
と、いうかあの状況でキレるなんて自分でも思わなかったし。
「でもどうしようもないんだよな…」
あの時のこと、今でも引きずってる自分もどうかと思うけど、
本当に、どうしようもないんだよ。
どうしようも…
「うああああああ!もういい!よし吹っ切れたぞ!謝りにいこう!」
私は階段を駆け上がり、部屋へと向かった。
「あ、夢花様!?さ、先ほどは一体…」
「え?あ、ああ。ほら、さっきはだな、こう、重い雰囲気でイライラしてしまって…ごめん。」
「何や、そやったんか。びっくりしたわあ…。ウチなんか言うたんかと思って。」
明日香の言葉に、私は苦笑して「大丈夫だ。」と返す。
そんな私を、優美だけがじっと見ていた。
洞窟。
「右京、左京…もうすぐだな。」
「そうにございますね。」
「早う花の巫女達を、絶望で溺れさせとうございます。」
「ふ、左京…それはわしとて同じじゃ。」
二人と言葉を交わし、夜深月は洞窟の奥の方に歩いてゆく。
洞窟の奥深くは、全くと言っていいほど光が届かない。
鍾乳洞が広がるそこの中央近くに、ぽつりと棺が置いてあった。
夜深月は蝋燭に明かりを灯し、その棺に近づく。
棺の中には、金髪、色白の美しい女が固く目を閉じていた。
「自分を偽り、友人や家族にも嘘を吐き、本性を隠し続けた道化…。有坂夢花、といったかな?わしらを封印した女の孫はお前にそっくりじゃぞ、十六夜。」
十六夜、と呼ばれた女は返事をしない。
夜深月は「クククク…」と不気味に笑った。
「有坂夢花…あやつが本性をあらわしたらどうなるかのお?お前のようになるかもしれんなあ…」
棺にひじをつき、夜深月は低い声で、
「家族を殺し、自分の周りにいた人すべてを殺して回った、お前のようにな。」
と言った。