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- Re: 妖言遣い 【短編集】 ( No.13 )
- 日時: 2011/03/26 15:25
- 名前: 玖夙友 ◆LuGctVj/.U (ID: Omw3dN6g)
「大好きとか愛してるとか、そういう陳腐で風化した言葉で例えると——」
「……いや、なんでもない」
*
高校生活は、面倒ごとの連続だ。
「ねーねー、昨日のテレビ見た?」
「……ああ、パイプイスがどっかんだったぜ」
「どんな番組!?」
「——腐ってやがる。早過ぎたんだ」「黙れ小僧!」
「なんだっ? ジブリネタ?」「ノックもしないのかい!」
「でさ、俺バイト募集のファミレスで断られてよぉ」
「粘れよ、『働かせてください!』って」
「『千と千尋』連続!?」「あー、オレ見てねーわ」「焼き払え!」
「ちなみにアタシは『ハウル』派だ」
「俺『千と千尋』かな」
「クールに『豚』だね」
「そう? 私なんか『魔女の宅急便』とかだけど」
「はぁ!? 普通に『ラピュタ』でしょお!?」
「いやいや、ここはあえて『ハリーポッター』を」
「「ジブリじゃない!?」」
「……あー、そんなことより山坂さ、あいつほんっっと最低だよね」
「誰だよ山坂って」
「つか大声で陰口言うなや、ワザとらしい」
「えヴぇヴぇヴぇヴぇッ!」「そうだよ! えヴぇヴぇヴぇヴぇヴぇだよ!」
「ヴぇが一つ多いよ」
「ヴぇってなんだよ!?」
「赤崎ぃ、数学の宿題やってきた?」
「……あー……ぅー」
「ん、どうした?」
「えと、オレ平沢や」
「…………」
「——どうした佐倉、浮かない顔して」
「なあ、一つ頼んでもいいか?」
「あぁ? 何を?」
「ちょっと国防省を爆破し——」「断る」
「——あ、そうだ、いーちゃん、何かほしいものある?」
「……? よくわからないけれど、恥ずかしながらほしいものはあるわ」
「なになに?」「あなたがいない世界よ」
「…………」
「——なあ宝井、オレたちも長い付き合いになるよな?」
「うわ気持ち悪っ、急にどうしたの?」
「お前をオレの親友と見込んで頼みがある。——死んでくれ」
「てめえが逝け! つか、なんで!? 何があったの!?」
「——ありり、内尾さんに湯田さんでねえの、どった? 怖い顔しちゃって」
「トトロに会った!」「ジブリネタ再開!?」
「訳、『ありえねえデブと遭遇した』」「酷ぇなオイ!」
「あのモンスターをハントして来てほしい」
「……こんどPSP貸してやるよ、そこで狩りをするといい」
「えー、リアルがいいー!」「一人でハンザイやってこいよ……」
*
繰り返す。
高校生活は面倒ごとの連続だ。