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- Re: ( v o l u m e . ) ( No.6 )
- 日時: 2011/02/25 17:48
- 名前: 綾莓. ◆83sPk9nC26 (ID: 5RAlDtaS)
♭ v o l u m e .03
「 起立、礼 」
「 お早うございます 」
「 着席 」
朝のHRが始まった。挨拶の次は、出席。女子は後の方だから、少しだらんとした体勢で待っていても、別に何とも言われない。
逆に男子は呼ばれた後は自由タイムだから、まあ男子の方が有利だろうか。
「 沢渡。沢渡恵太 」
恵太が呼ばれた。けれど恵太は後ろを向いていて、先生が呼んでいるのに、気づきはしなかった。
恵太と話している男子も、恵太が呼ばれているのに気づいてない様子だった。
恵太が話してる男子の隣の席は、丁度わたし。
今恵太に伝えないと、恵太が叱られちゃう…
その時わたしは痛い喉を振り切って、声を出した。
「 け、恵太…呼ばれてるよ… 」
振り切ったのにもかかわらず、まるで聞こえない声の"ボリューム"だった。
そう、恵太はまったくもって気づいてはいなかった。
けれどわたしは、負けじと声を出した。
「 恵太ってば…叱られ…ちゃうょ… 」
最後の言葉が下に下がった。
あああ、駄目だ全然聞こえてない…
教卓を見ると先生がイライラしてた。
や、やばいよね、この状態…
「 け、恵太ってばぁ… 」
もう一度呼んだけど、気づいてはくれなかった。
恵太が気づいてないんだから、隣の男子もまったく気づいてはいなかった。
ええい、もうっ…
「 け… 」
もう一度勇気を出して、振り絞った声を出そうとした瞬間
「 沢渡恵太!お前は先生の声が聞こえんのか!? 」
ついに先生が声を張り上げた。
あ、あちゃ〜…。
「 えっ、呼んでたんっすか!? 」
「 ああ、ずーっと呼んでいたぞ!なんだ、先生に対する嫌がらせか!? 」
そんな事、恵太がするわけないじゃん…
その時、そう言えばよかったのに。
勇気を振り絞って、先生に言えば良かったのに。
"恵太がそんな事、するわけ有りません"
——…って。
「 罰として、反省文400文字だ!! 」
今日の先生は機嫌が相当悪かったのか。恵太に反省文と言う罰を与えた。
わたしのせいだ。わたしが、もっと聞こえるような声を出せば、恵太は叱られる事なんてなかったのに。
喉が、頭が、痛い。
( v o l u m e . )