コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 本物ノ笑顔。 ( No.3 )
- 日時: 2011/03/05 15:37
- 名前: 與那 (ID: .XINq6xY)
▼第一章「後ろに出来た未練」
会わなくなったきっかけ、それを作ってしまったのは那留自身。
その時残ったのは後悔ではなく——ただの未練であった。
*
不意に、無償に会いたくなった。
それだけの理由なのだが、普通のカップルだったらこんな理由でメールを送るのは当たり前なのだろう。
もう学校から帰ってる時間だし——メールしても平気だろう。
そんな一心でメールした自分は馬鹿だったのだろうか。
十分、二十分、刻々と時間が過ぎるが、朱雀からの返信は来なかった。
同じ内容のメールはあまり送らない、と決めていた那留だが、待たせる朱雀に堪忍袋の緒が切れた、と言って正解だろう。
もう一度同じ内容のメールを送信するが、またしてもスルーされた。
三度目の正直に送ったメールは——地雷を踏んでしまった。
『今試験一週間前で忙しい。正直言ってウザい』
その文面を読んだ時、一瞬にして那留の頭は真っ白になった。
「何で……?」
悪いのは朱雀の筈なのに——否、朱雀にとって悪いのは那留なのだ。
きっと朱雀も那留と同じように、自分の考えを素直にメールで表したのだ。
でも、もう少し優しく言ったっていいじゃんか。自分が悪くないとでも言うように脳裏に言葉が走る。
此処で謝ったら負けだ、と此処で謝ったらもしかしたら許してくれたのかもしれないのに業と那留は意固地になって、違う人にメールを送った。
朱雀の試験が終わったと思われる日、那留はようやく素直になって朱雀に謝罪のメールを送った。
『Title:ゴメン
試験だってこと知らなかった、ゴメン。
だからさ、試験とか大事な行事があったらお互い連絡しよう?』
短い文章だが、自分が伝えたい事の内容は大体分かっただろう。
許してくれるから分からなかったが、朱雀の事だから返信してくれるだろう。
その考えが、甘かった。