コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

§あなただけ ( No.6 )
日時: 2011/03/15 21:36
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)

//03.


小学6年生の、ある秋の日。
お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、誰も信じることのできなくなったあたし。
——どうすればいいんだろう。

泣きたくなってきた。あーあ、泣かないって決めたのに。
迷惑なんて、掛けたくなかったのに。

でも、いいか。今は、幸い誰もいないようだし。
よかった、今日あたし日直で。
——放課後、遅くまで学校に残って涙を流すことができるから。

「あの、大丈夫……ですか?」
「え?」

……見られた! ……見られちゃった!
今まで、人前で泣いたことなんてなかったのに。

「俺でよかったら、話聞きますよ」

——こんなに優しくされると、もっと涙があふれて止まらなくなる。

「ごめ……っ、本当にごめんなさ……っ」
「謝んなくても大丈夫ですよ、今は気を遣うとこじゃないですから」

そう言って、微笑む君に、恋をしてしまうのは——ごく自然な流れで。