コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

§あなただけ ( No.33 )
日時: 2011/03/21 18:35
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)

//12.


廊下で昴さんに逢うたびに、昴さんはこっちを振り向いて笑ってくれた。
それが、どうしようもなく嬉しくて。
笑い返そうとするけど、顔が強張ってうまく笑えない。

——まだ、牧内くんへの想いが……消せてないから。

だって、牧内くんへの想いは、簡単に消せるほど軽いものじゃなかったんだ。
今だって、まだ忘れることのない。
もういい加減、諦めたっていいのに……諦めきれないあたし。
あたしは、どうしたらいいの?

膨らんでいく昴さんへの想いと、完全に消すことのできない牧内くんへの想い。
2つの想いの狭間で、あたしはまだ迷ってる。
ふらふらと、どっちつかずの心のまま。
こんなんじゃ、みんなにだって迷惑かけるだけなのに。

——牧内くんにも、昴さんにも。

あたしの存在は——迷惑にしかならないのに。
どうしようもないあたしは、決めることのできないまま……まだ戸惑ってるの?
こんなんじゃ駄目だって、分かってるのに。

ねえ、誰か教えてよ。

あたしは、どっちを好きになればいいのかな?
それとも、どっちとも好きでよかったの?
それとも——……どっちとも、好きにならなきゃよかった?

分かんないよ、こんなの。
経験したことのない苦い想いが渦巻いてる。今のあたしは醜いよね。
……きっと。