コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

§あなただけ ( No.39 )
日時: 2011/03/23 23:25
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)

//14.


「まり? ……まり? 大丈夫?」
「え……ごめん、いま何か言った?」
「いや、どうもこうもないけど。ちょっと目が死.んでたから大丈夫かなと思って」
「目が死.んでるって……」

るりとちょっとだけ笑って、また心のなかで重苦しい想いを抱えた。
——牧内くんの想いは、どうなってしまうんだろう。
——そして、昴さんへの想いも、これからどうなっていってしまうんだろう。
全部、自分のことなのに、あたしはあたしが分からない。

あたしのなかで、何かが壊れる音がした……ような気がした。

あの声が、聞こえるまで。


————


「朝岡さん、今日の放課後……空いてますか? ちょっと話があるんですけど……」

牧内くんの、声。
あたしの心で、何かと何かが闘ってる。それはきっと、あたし自身が出さないといけない答え。

「放課後なら——空いてます」

あたしは、その答えを出すために……牧内くんの問いに答えた。
もうこのときに、答えは出ていたのかもしれない。でも、あたしはまだそれを知らないままだった。
だから、牧内くんの問いに答えることができたんだ。

「じゃあ、……放課後。この教室で」

何故か、寂しそうな顔をしていた牧内くん。
今になってみれば、それは当然の表情だったってことが身にしみてよく分かる。
放課後、あの教室にいたのは貴方じゃなくて。

——昴くん、だったのだから。