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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- §あなただけ ( No.47 )
- 日時: 2011/03/26 12:35
- 名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)
//16.
「え? 何でここに——昴さん、が?」
あたしは、牧内くんに呼ばれて……。
——牧内くんのあの顔は……こういう意味だったの? 昴さんが、ここに来る予定だったから?
「本当は……こうたろう がここに来るはずだったんです。俺も、あいつに呼ばれたんで」
「……え?」
「朝岡さん、本当は こうたろう のことが好きだったんですよね?」
「——あ……」
どう答えようか、悩んだ。
いまは、昴さんと牧内くんの間で迷っていたから。
迷ってるあたしには、決定権なんてないから。——あの二人を、好きになる権利なんてないから。
——でも、牧内くんのこと好きだったのは、本当だったから。
「——はい」
答えた。昴さんに、はっきりと——伝えた。
——怖い。昴さんが、この一言であたしのことをどう思ったのか……すごく、怖い。
過ぎていく時間と、沈黙が痛い。
「俺は、——朝岡さんのこと、好きです」
「……え?」
昴さんが——あたしのこと、好き? 本当に?
でも、あたしの心はまだ、揺らいだまま、本当の気持ちが掴めてない。すごくすごく、嬉しいのに。
まだ、牧内くんの想いが……揺らいでる。
いい加減、諦めなきゃ——って、分かってるのに。
想いを頭で侍らせて、また沈黙が流れようとした——でも、昴さんの一言であたしは……。
——
「あいつは、まだ朝岡さんのこと、想ってる」
「……え? じゃあ、何で」
「——あいつは、俺にこう言ったんです」
『——やまと の方が、朝岡さんのこと傷つけないから。』
ああ、そうなんだ。牧内くんは、そう言ったんだ。
あたしのことを想って、自分で諦めたんだ。
——あたしも、決めないと。
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