コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

§初恋物語 ( No.64 )
日時: 2011/03/31 13:35
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)

//09


「あ、島原さん! どうしたんですか?」


平池くんは、あたしが後ろにいただけで、振り返って話しかけてくれた。
……やっぱり、いい人だ。
あたしにはもったいないくらい。


「あの。これ、渡しに」
「ああ、土崎に何か言われたんでしょ?」
「まあ、そんな感じで……」


そこからまた、沈黙の時間。過ぎゆく時間が痛い。
その沈黙を破ったのは、他ならない平池くんだった。


「実は、言ってなかったですけど、」


平池くんは、そこでいったん言葉を切った。
そして、それからしばらく間を持たせて、何故か泣きそうな顔をしながら、言った。
それは、今までの平池くんからは、想像もできないような。

——細くて、掠れた……悲しい声色と表情。