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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- §ほんとの言葉 ( No.85 )
- 日時: 2011/06/18 16:12
- 名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)
//01
はい、こんにちは。 あたしは井村麻尋。
まあ、このお話は1人1人が経験したひとつの恋の短編集みたいな感じなんだけど。
……この期に及んで気付いたことが1つ。
井村麻尋。
わたくし、まだ恋というものを経験しておりませんね。 はっはっは。
◇
「焼田ー、遅刻するー。 早く出てこい」
「いま出る! 寝坊したんだって」
「お前それ10分前にも同じこと言いましたけど」
はい。 改めまして、井村さんちの麻尋です。
あたしが遅刻寸前なのは、まだ家のなかで着替えてるあいつのせいです。
——焼田壮介。 あたしの幼なじみ。
女子の方でも割かし背の低いあたしより、5センチは軽く下回ってると思う。
顔は可愛いし、……表せば一種の小動物みたいな。 例えるなら、りすだね。
まあ、そんな感じのやつなわけさ。
髪の毛とかさらっさらで。 ああ、ほらほら。 風になびいちゃってるよー。
顔もいいくせに、頭もいいし運動もできるし。
ちょっとずるいと思う。 ——神様って不公平じゃね?
幼なじみのあたしは、このなかのひとつも持ってないのに!
あいつ以上に持ってるものと言ったら、身長くらいではないか。
そうとさえ思うね。 うん。 てか、そうだろ。 それしかないだろ。
ちくしょう、本当に神様って不公平だ。
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