コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

§ほんとの言葉 ( No.100 )
日時: 2011/06/26 16:51
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)


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揺れ動くこの想いが何なのかは分からないけど、これだけは分かる。
——あたし、ずっとこの温もりが欲しかった。
誰かに励ましの言葉もらっても、一緒に泣いてくれても、嬉しかったけど、どこかでまだ寂しくて。
あたし、欲張りだって思ってた。 そうだ、あたしずっとこの温かさが欲しかったんだ。

「やっぱ、欲張り、なんだ……あたし」
「え?」

焼田が素で聞き返す。 何でもない、と返してそのまままた俯いた。
焼田には、打ち明けたかったけど、知られたくもなかった。
——あたしが、情けないやつだってこと。
うん、分かってるよ。 矛盾してるなんてこと。

「ごめん、焼田。 もういいよ、」

そろそろ、潮時かなーって離れた。 ——と思ったら離れない。 あれ? 何で離れないんだ?

「本当、どした? まひろ」

いつも以上に真剣な顔した焼田。 あたしの腕つかんで、必死で聞こうとしてる。
大丈夫だよ、って言って今度こそ焼田から離れた。 それから、走った。
何か、心臓辺りがばくばくする。 走りすぎたかな。 でも、逃げてよかった。

このままだったら、あたし、何かを言ってしまいそうになってた。

きっと、これを言ってしまったら、確実に焼田とあたしの関係は保たれなくなる。
そんなの、嫌だ。