コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

§ほんとの言葉 ( No.102 )
日時: 2011/07/09 12:52
名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)


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 ぼんやり、ラジオを聞いていた。そのうち眠気が襲ってきて、結局寝てしまったけれど。——焼田に逢いたい。そう思って、近所の焼田の家を覗きこむ。だけど、それだけ。そこから動けない。逢いたいけど逢いたくない。

 ねえ。こんなことを考えてしまうあたしっておかしい?

 尽きることの無い悩みはいつしかあたしの心を侵食してしまう。どうしてこんなことになったのか、そんなこと考えてたら長いことかかるんだろうな。



「逢いたい、なぁ……」



 誰に? ——答えはとっくの昔に出てるけど、気付かないふりをする。こんなとき、なつとかるりとかだったら、親身になって聞いてくれるんだろう。まりとなるとあーちゃんなら、面白いこと言って笑わせてくれて。

 みんな、いい人なんだ。あたし、みんなの中にいていいのかな。こんな中途半端な存在のあたし、みんなと一緒にいてもいいのかな。

 ——あーあ、もう駄目だ。ぐっちゃぐちゃで訳分かんない。



「——でも、みんなと一緒にいたいなぁ……」



 頬が濡れてる感覚を覚えた。きっとそれは、俗に言う涙の分類に入るのだろう。

 あたしがいま言った、「みんな」のなかには、あいつも入っているのだろうか。だとしたら、あたしはあいつになんて言えばいいんだろう。

 そばにいて。——図々しいかもしれないけど。出来る限り、なにも聞かずにそばにいてほしい。そんなのはただの我儘なのかな。