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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- §ほんとの言葉 ( No.104 )
- 日時: 2011/07/10 22:47
- 名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)
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次の日の朝は、なんだかすごく体が軽くて。 今なら何でも出来る気がした。 そして今日は、中学最後の大会——地区総体の日だった。 今までのあたしなら、きっと今日も何しても駄目だったんだろう。 でも、今なら頑張れる気がした。
——まひろ、頑張れ——
——聞こえる声が、誰のであろうと、あたしはとても安心できた。 きっと昨日のラジオのおかげだろうと、勝手に自己完結してみる。 あの声はきっと——。
淡い期待はしないほうがいい。 期待を裏切られたときの損傷が半端じゃなく重いから。
地区総体が、もう少しで始まる。 いつもと違う様子のあたしに、なるは目敏く気付いたらしい。 ——自分のことには鈍い癖に、他人のことには妙に鋭いんだよなあ。 なるのそんなとこが好きだけど。
「もう元気になったの?」
「——んふふ、元気でーっす! つかわたしいつでも元気よ? ご心配なさらず!」
「それならいいけど」
素っ気なく返すけど、これがなるの優しさなんだろうなあって。 今さらながらに気付くあたしを許してほしい。
頭の中で繰り返し聞こえる——ここにはいないあいつの励ましを頭の傍らに追いやって、これから始まる大会に気を引き締め直した。
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