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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- §ほんとの言葉 ( No.105 )
- 日時: 2011/07/10 23:16
- 名前: 祐希 (ID: xJuDA4mk)
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多分、この三年間でいちばん頑張った試合だったと思う。 結局、他人に文句ばっか押しつけて、自分は面倒がって何もしてこなかったんだと気付かされた。 これじゃあ何言われたって反論できないに決まってる。 気付かせてくれたなるに感謝。 そんで、——あいつにも。 これに勝ったら、あいつにいちばん言いたい言葉を伝えよう。 たとえかなわなくとも、それはあたしの気持ちなんだって。
——今まででいちばん頑張った試合は、あたしを決勝戦まで進めてくれた。
なんて思うのは図々しいだろうけど。 あれだけ嫌いだった顧問が、少しだけ好きになれる気がしなくもない。 ——まあ、嫌いなことは嫌いだけどね。
いま、コートでなるが頑張ってる。 ここでなるが勝ったら、あたしたちは優勝することが出来る。 いままで滅多に賞を取れなかったあたしたちが、決勝戦の舞台に立っているというのはすごく光栄なこと。 なる、頑張れ。 なる、頑張れ! 勝てなくてもいいじゃない。 まずここにいる時点ですごいと思わなきゃ。
——頑張っても報われないことだってある。 そんなことは今までだってたくさんあった。 だから、なるが負けて帰ってきたとき、すごく悔しそうな顔してたのはつらかった。 少しでも、元気にしてあげられたら。
「——頑張れ、まひろ」
「うん。 頑張ってくるよ、なる。 勝ってくるから!」
——本当にしたかったその言葉。 ほんの気休め程度にしかならなかったみたいだ。 圧倒的な強さに押し潰されてしまった。 けど、何でだろう。 不思議と悲しくはない。 もちろん、悔しくともなくて。
ただ頭を巡っていたのは、あいつに伝える言葉のこと。
感謝。 懺悔。 ラジオのこと。 それから————。
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