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Re: 古本少女! ( No.109 )
日時: 2011/03/30 21:45
名前: 月読 愛 ◆o9WCM38pVQ (ID: OJbG5PHc)



「ここが私の家」
 そう言って榊原は僕を中へと案内する。
家の外装は、見ただけでお嬢様というような感じである。
桃色を基調としたレンガ造りになっていて、庭もついていて、
かなり広いと予測できる。
 黒い門をくぐればそこはもう夢の国。
白い小さな橋が架かっていて、その下を流れる小川は
今日は灰色ではあったけれど神秘的であった。
きっと晴れた日には太陽の光が反射して、綺麗なんだろう。
 大きな木やアーチなんかもあって、豪邸とまではいかないが、
そこらの家なんかよりも豪華なのは定かであった。
 玄関を上がると短い廊下があり、突き当たるとそこには白いドア。
どうやらリビングらしい。
僕はリビングのこれまた高そうな白いソファに座らされ、
榊原は妹を呼びに二階へと行ってしまった。
 僕は一人しかいない空間に、しかも僕なんかにこんな贅沢な空間を使わせてもらってもいいものかと不安になりつつも、
本来の目的を思い出し、頭を振ってなんとか正気に戻った。
 辺りを見回せば、僕には理解のできない、きっと有名な画家が描いたであろう絵や使われずしかし丁寧に磨いてあるティーセットなどが
飾られていた。
 その近くにある本の山。五冊くらいがまとめて置いてあった。
どれも表紙はボロボロで、今にも取れそうなほどだった。
色が褪せているものもあったし、もはやタイトルが確認できないものもあった。
一番下にあった本だけ、最近読まれたのだろうか。しっかり栞がされていて、なんページかよく開かれたのだろう、跡がついていて
すぐに開いてしまう。
 特に意味もなくぱらぱらと捲り、そして最後のページに何かが
書いてることに気付いた。
(何だろう?)
もう一度開いて確かめる。
それは言葉だった。
ただの言葉ではない。あの時と同じ、古本少女の家にもあった———
「僕の父さんの本だ」
でも、これはあれとは違う。
『この書を読まれし担い手よ。我が願いを叶えたまえ。甦らせよ。
天性の能力を。今こそ、汝に全てが託された。その丈守りたもう』
「どういう意味なんだろう」
「勝手に読むなんて、いい度胸してるじゃないの」
「!?」
 腕組みをした古本少女に雰囲気の似た、しかしかなり邪悪な気配を
纏立っていたのは、メルヘンな格好をした女の子。
態度とは裏腹結構可愛い。ロリとでも言っておこうか。
古本少女よりも少し幼く見えたのだ。
「ご、ごめんね。その、僕本が好きで」
「言い訳は慎みなさい新たな担い手よ」
「はい?」
「その本を知ってるでしょ」
「うん……どうしてここ」
「黙りなさい」
「……」
 僕は女の子の迫力につい怖気づいてしまう。
いい?と彼女は近くにあった椅子を引き寄せ、生意気に座る
「状況を理解してないみたいだから、説明してあげる。
その前に自己紹介でもしておこうかしら。あたしの名前は莉乃。
亜美姉の妹だよ」
「お前が……?」
「無礼者、あたしをお前で片付けるな」
「は、はい」
「ふん……。まぁいい。言っておくが、亜美姉は組織に関係ないから安心しなさい。今までどおり仲良くやってて結構よ」
「はぁ」
「紹介の続きよ。あたしの別名は『メルヘン童話少女』。古本少女とは
ライバル関係にある組織なのよ。仕事はほとんど彼女たちと一緒。
でも、ちょっと違うことがあるの」
「違うこと?」
「ええ。特別に教えてあげる♪ そ・れ・わぁ……
ライバル関係の組織の担い手を殺しちゃうこと」