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Re: 古本少女! ( No.115 )
日時: 2011/03/31 23:11
名前: 月読 愛 ◆o9WCM38pVQ (ID: OJbG5PHc)


「それって……」
「あ〜ら。やっと理解したの?ここまで来ておいて?
あはははは!笑っちゃうわっ!」
「僕はそんなつもりじゃ」
「じゃあどういうつもり?」
「え?」
「どうして今日ここに来たのよ? あたしの正体、知りたかったんじゃないの?あの『古本少女』っていうマンガから察知したんでしょ。
全部お見通しよ。甘く見ないで頂戴」
莉乃は首に下げていたカギをはずして強く握り締めた。
そして何かを唱える。
僕の不審な視線に気付き不適な笑みを浮かべる。
「もう還さない。あんたはもうあたしのモノにしてやるんだから。
準備だって整っているの。その本を持って」
僕に父の言葉が書かれている本を持たせる。
笑みが消えた。



 僕は寒さに目を覚ました。
「なんでここに……」
目の前にはあれほど通いつめても見つからなかった古本少女の家がそこにはあった。
あの大きな木の場所であった。
明かりが消えて、ドアから古本少女が出てきた。
「古……!」
「黙って!」
 僕は意味もなく手で口を覆った。
目だけを彼女に向ける。
「出てきなさい、メルヘン童話少女」
甲高い笑い声がどこからともなく聞こえて背後に気配を感じた。
恐る恐る振り返ればそこにはさっきの少女———莉乃がいて……。
「やる気になってくれた?古本少女」
楽しそうに笑ってはいたが、しかし目だけは笑っていない。
「別に。そういうわけではない」
僕は全く二人の会話についていけない。
二人の少女は僕を丁度真ん中に挟む位置に立っている。
でも、僕は二人を見上げていて、彼女たちは僕を見下す。
(なんか嫌だな……)
 僕は今おかれている状況がその時は把握できなかった。
だから、こんな呑気なことを考えてなんかいたんだろう。
 結局、榊原の家でゆっくりは出来なかった。
しかも妹がメルヘンなんたらだったといういらない情報を手にしてしまった。
それから僕は気になることがあった。それは、榊原姉、つまり亜美は
本当に無関係なんだろうか?
家に行きたいといったときの不自然さ。あの場所での不可解な表情。
リビングであれだけ騒いだのにもかかわらず、あれから一度も顔を出さなかったこと。僕は不確かではあるが、彼女のことも調べなくてはいけない。そんな使命感に駆られていた。
 そして古本少女とメルヘン童話少女はなにやら約束をしているらしい。
よく聴いていなかったが、そんな様子だった。でも、楽しいものではないのだということは、よく分かっていた。
険悪な雰囲気はより一層増していたからである。
何かつぶやいてメルヘン童話少女、莉乃はカギを握り締めて消えた。
どうやら彼女はあれが武器のようなものらしい。
 僕は依然黙ったままの古本少女と立ち上がり、向き合う。
そして彼女は僕に告げる。

「ついに始まるわ……戦争が」