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Re: 古本少女! ( No.47 )
日時: 2011/03/21 14:52
名前: 月読 愛 ◆o9WCM38pVQ (ID: OJbG5PHc)


 僕はののかの部屋に通され、ののかは飲み物をとりに行った。
久しぶりなこともあり、少し緊張するが、自分の部屋に女子を残しておくよりはマシだ。
 しかし、来ない間にずいぶん変わっていた。
写真や部活で取ったトロフィーなんか、だいぶ増えていたし、
部屋のカラーもピンクで統一されていた。
ベッドにはこれまた可愛らしいうさぎの人形なんかが置いてあって、
実に女の子らしい。
 今僕が座らされているクッションだって、目の前にある折りたたみテーブルだって、どれもこれもみんな懐かしかった。
 それから……無性に甘い匂いが漂っていて、いかにもという感じであった。別に女の子だから悪くはないが、男としてなんだか落ち着かない。
こんなときに限って古本少女がののかに仕掛けたあの出来事が蘇ったりする。……マジ勘弁!
「おまたせー」
呑気に本人がやってくる。手にはお盆がのっていて、上にお茶が注がれているコップ二つと、なにやら赤いものが入ったお皿が一枚。
「……おい、ののか、これってもしかして……苺?」
ののかは目を輝かせながら言う。
「そうそう!よく気付いたね!」
そりゃあ気付くよ!
「でも、いいの?苺僕が食べちゃって。ののかの大好物なのに」
へ?と情けない声をだし、ののかは応える。
「これは湊のじゃなくて、あたしの!」
「はい?」
「あ・た・し・の!」
いいよ強調して二回も言わなくて!というのは冗談で。
「そうなのか……はははごめん、てっきりくれるのかと」
「しょうがないなぁ〜」
一個だけ!と手でわしづかみにされた苺を渡される。
こいつは……。
とりあえず、僕はそれを食べ、勿論ののかが残りは全部食べたのだが……
お茶を飲む。苺にお茶って趣味悪すぎだろ、なんて考えていたら急にののかが問うてきた。
「ねぇ、あたし彼氏がほしい」
「ぶー!」
 僕は盛大に吹いた。
「あ、ちょっと湊汚い!早くコレで吹いて!はやく〜〜〜ぅ!」
 僕は差し出されたティッシュを素直に受け取り、すぐさま吹いた。
シミにはならなかったようで、一安心だ。
それかた改めてさっきの問題発言を掘り返す。
「えっと……もう一回言って?」
うん。頷くと、やっぱり聞き間違えではなかった。
「彼氏が欲しいの」
「何で急に?」
「別に、そんな急ではないよ?……でも、今までそんない恋愛とか興味なくて、あたしには湊がいるし、別にって思ってたんだけど」
ちょっと引っかかるところがあったが、ここは流すとしよう。
「それで?」
「うん。でね、部活の子みんな彼氏がいて、あたしだけいなくて、会話にも入れなくて……」
そうなのか……だから最近元気がなかったのか。
ののかはどうやら真剣になやんでいた。
 でも、男の僕にはいい考えが浮かばず、明日の登校時に何か言い答えを用意するという保留法でその場をしのいだ。
 答えが返ってくるという安心感からか、ののかは少し嬉しそうだった。


 僕は自宅についてからも考えてはみた。
食事中も、入浴時も、勉強時も。でも結局いい考えはでず、あきらめて寝ようとしたその瞬間、ふと脳裏を一人の姿が浮かんだ。
でもあいつに相談したって……
長い時間考えたように思えた。———よし。
 椅子から立ち上がると、すぐに玄関へと向かい、誰もいない家を留守にした。と同時に後ろから声がかかる。
「ここにいるわよ」
(この声は!?)
僕は驚いて振り返る。
「あたしに相談があるんでしょ?」
「……どんだけ鋭いんだよ」
僕は半ばあきれぎみで、でも感謝でいっぱいの気持ちで、古本少女とともに再び僕の部屋へと戻った。