コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー(短編小説) ( No.2 )
日時: 2011/07/20 23:44
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: PDV9zhSY)

 梅雨の時期は晴れたとしても、大体お日様の側に大きな雲を置いていて、6月の天候は夏を目前にまだ春のヒンヤリとした空気をズルズル連れていた。
 そんなハッキリしない時期は、地上の生き物にその気だるさと焦燥を無駄に上手く反映させていると言えよう。
 そして、その恩恵を真っ向からマイナスに受ける俺は制服姿で自宅の玄関に座り込み、しかめっ面一色で待ちくたびれていた。もちろん、これから登校するつもりなのだが・・・これでも清楚なジェントルマンとしてある女性を待っている。

 朝から俺の家は忙しく、そのせいでその人物も遅れをとるのだと。
その割にはそちらも忙しいのにお化粧はバッチリするので、目下そのせいで俺が待たされているんじゃないのだろうかと問いたくなる、てか犯人は彼女以外の何者でもないはず。

ドタドタ・・ドタドタ・・・・ズコンッ!!  痛っつ〜!!・・・・ドタドタ

 梅雨時だというのに古風な床を軋ませる乾いた音が家中に響く。平日の朝、耳を澄ましてみると大概こんな音がこの玄関から伸びた廊下の奥から聞こえて、そして3分の1の確立で必ずこける。きっとその床には肌色パウダーが顔面型に色濃くっついているだろういやぁ楽しみ楽しみっ。
まぁ、その確認に行ってる時間ないけど……てか早くして貰いたい。

「さっき朝食食って、そろそろ分厚い化け猫メイク完了。・・・・やっと来たか。」

 さっきの背後からドタドタは・・・音が大きくなって、それが最頂点になるとキキィーッ!!と擬音をわざわざ口で言って締め、止まる。その待ち人もとい“妹”に俺は振り向きはするが、あまり良い顔をしないようにする。

「はぁはぁ・・・や、やっほー兄貴。昨日はよく眠れた?」
「そうだねぇ。約4Tdpiの脳内解像度で良い夢見れたよ。」しかめっ面継続中。
「ふ〜ん。どうせまた、んな画面綺麗で見ても中身がないんでしょ?」
「うぐっ・・・。」

 ジョークのつもりがイタイとこ突かれてしまう。
全く、人の冗談の揚げ足を取らないで欲しいなぁ。
まぁ、その通りなんだけど。昨日の夢は急過ぎる階段のロッククライミングと、なんともサスケで、落ちのない詰まらない物だった。いや、途中重力が反転したり、雲が掛ってきたりしたか・・・・・・どちらにせよなんて地味で非凡な夢なんだろうか。

 閑話休題。

 妹はそんな俺の詰まり具合に気づいたのか、いかにも悪戯な微笑で通学兼部活用シューズを履く。
その途中、横にある縦長の鏡を見つめながら、よ〜し、グーグーとか言っていた。
何がグーだよ、思いっきり遅刻圏内だヨ。

「何が化粧だい?待ってるこっちが老けちまう。
ちゃんとした理由がおありなんでしょうけど。」

 じゃぁねーと、もう勝手に登校する事にします。
あんたの化け猫メイクには付き合ってられないというか、付き合っているのが不思議というか、一人じゃやっぱ行けないとか・・・て、だんだん言って聞かせる対象が変化してる気が・・・・・・?
なんじゃそりゃ、何、何何ジャソリャ!!しかも、それに答える妹の根拠がまた気に入らない。

「り、理由!?それは・・・モテるからって皆やってるみたいだよ?・・・で、でも!アタシはその・・・話の種になるからやってるだけ。うん、そうだぜ。」
「・・・そうかい」
そうかいそうかい。
それなら(この際、この明らかに動揺してるのは見なかったことにしても)俺と一緒に登校すること事態間違ってるはずだよな。

まぁ、そこはいい。いいから化粧だけはやめてくれっ。
 そんな念を込めたのか、それともなんかしらの嫉妬からか、つい俺は口を滑らせてしまった。

「ん〜そういえば、モテるには化粧なんかよりもつかの間のパンチラの方が良いって吉野が言ってたなぁ」

 多分これは、もうそんなことは止めて兄貴を待たせるなって色濃い忠告なはずなのに、
なぜか次にパンチラの一文字たりないアレが飛来。突然故、回避不可だった。