コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.31 )
- 日時: 2011/05/16 10:56
- 名前: そう言えば、こしょうの味しらない (ID: lZRL.MZu)
それからその日の昼休みや放課後の時間でユトリ先輩の説得のおかげで、純一と吉野も参加することになった。二人とも不快そうな表情はなく、ただ単にどうするか悩んでいんだけなんだろうね。
さて、今はその日の放課後、昼と同じく3階デッキ。この時すでに皆参加することは決まっていたからユトリ先輩か急ピッチで準備する物や活動内容をプリントに纏めてきてくれた。よって今回のミーティングは老人ホームの件について。予定では朝早くバスで向かい、半日手伝いをして夜までには帰ってくるのだそうだ。
しかし、そんな大事なミーティングの合間にも純一はバスケ部でいない。それはいいんだけど、部活が終わってもこちらに来れないのだとか。
目下、俺は純一がいつも早くに帰ってしまう事が気になっていた。この前も聞いたんだけど、本人は何か用があるとだけ言って、それからはぶらかす様に弁当の中身を奪い去っていく。でも、人の貴重な栄養源を摂取したはずなのに、あまり良い顔をしていない。それを聞くといつも。
今日の臨時ミーティング後、屋上で昼食をとった時もそうだった。
「だからさぁ、純一って毎日どこいってんのさぁ」
「ん? ぬあぁ?」
「だから喋るときは口からだして、海老フライ」
突然お前が話かけるから仕方ねーだろっとでも言うように、屋上の転落防止用のフェンスにもたれかかっていつものような快いにやついた表情で反論してきた。
それから口にくわえた海老フライを急いで食べて、ごクリと飲み込む。
「あ〜、美味美味」
「……何か隠してない?」
「ん? まぁ……隠すというか思いっきりプライベートなんですよ」
「あ、そうか。ごめん」
「わかればいいさ」
今日もそんな感じで、何も聞き出せなかった。
「はい、じゃぁ今日のミーティングはお終い。おつかれっした〜。それじゃぁ来週土曜日宜しくね、それまで部活は無しにするから、ちゃ〜んと用意してきてね」
ユトリ先輩の説明が一通り終了して、その場で解散することに。
「それじゃぁさらばっ」
それからすたすた帰って行ってしまった。やはり生徒会長だから他の仕事でもあるのだろうか? 実にタイヘンなんだろーなぁ。あの人なら楽勝そうだからよかったものの、俺がなってしまったら引き篭もりくらいには絶対になる。例えば入学式という晴れ舞台、知らない人の目の前で学食のカレーパンを押しまくった大演説するなんてあの人以外無理だ。
そう言えば、我らがユトリ先輩はアレでも成績では県内でも秀でた天才らしく、スポーツも万能らしい。と本人が言っていた。ならばうちの生徒会長に足りないのは背丈とジョーシキくらいなのだぁ〜、エッヘン。と果たして威張ってよいのか?
閑話休題。
そんな謂れ深い先輩が階段を上がっていくのと同時に、俺の制服が何者かに引っ張られる。大体、このような表現でお分かり頂けると思う。どうやら清水が何か言いたいようだ。
引かれた方、左手の方を向くと、案の定、清水の胸元のフィリップには緑色の線で何事か書かれている。
— 校門 まで 一緒に いかない ? —
「ん、そうだな」
ということで俺は清水と一緒に階段を下りて行った。途中後ろから吉野が何を思ったのか噴き出したような笑い声があったが知ったこっちゃない。
「おやおや、ホンマおあついなぁ、まええわ、ほな、さいなら〜」
それには正面を向いたまま手を掲げて答える。
二階の特別錬から校舎に入る渡り廊下に差し掛かっかって、窓の景色は陸上部や野球部が一望できるものになる。
こうして俯瞰してみると、やはりみんなして生き生きやっているようだ。同じくボランティア部もこんな風にやり甲斐のあるものなのだろうかと少し思ったりして基本はただ歩いているだけだ。すると、またもやワイシャツが引っ張られた感覚があり、そちらを向くと今度は青色で書かれた文字が……おしゃれのつもりなのだろうか?
— 来週 7月だっけ 楽しみだね —
「あぁ、そうだね」
消し消し。って消せるのか? 何で書いたの、それ。
書き書き。
— 7月の 第一 土曜日 だよ —
「えーと、なんでそんな念を押すわけ?」
消し消し。書き書き。
— 雄次 が ずーと ボート してたから —
「あ、そうか。でもプリントに書いてあるし」
消し……そこで一瞬、清水の動きが停止した。
消し消し。書き書き。
— そう だ ね —
それから校門まで、ワイシャツは引っ張られなかった。って何かものすごく悪いことした気がするのは俺だけでしょうか? なんか変な空気に!?