コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.35 )
日時: 2011/05/23 14:00
名前: そう言えば、こしょうの味しらない (ID: LMtRhfuT)

先輩に連れられて、私は今海を臨める高台を歩いている。そこを海側に降りて行くとそこは病院の駐車場として使用されていて、色んな車が並べられているのが見える。

駅前のバスに乗って、20分ほどの所の総合病院は私が喉の手術病院よりは小さいけど、この町の中では際立って目立っていると思う。

実際に近くまで来ると、高さも結構あって、てっぺんは30メートル離れないと見れない。

「大きいだろ? ここ」

足を止めて病院を眺めていた私に先輩は笑いながら話をかけてくれた。それに同意するため、私は首を縦に振った。

「ま、あんま好きじゃないんだけどね。ここ」

そう言って先輩は入口の自動ドアへ向かう。私もそれに小走りでついて言って同時に病院ないに入る。先輩はそれからも受け付けに向かい、奥のエレベーターに乗って……結構なれた動作のようだった。それで7階へ向かって、いよいよ先輩の弟さんの病室へ。

……あっ。どうやら大事なことを忘れていたみたいだあぁ。先輩に……う〜〜。雄次以外ワイシャツひぱったことないんだけど、しかたないか。

くいくい。

「……うん?」

それに少し遅れたように先輩が反応をくれる。その時の彼の表情はどこか印象的で、いつも笑っているはずの顔が、色を失ったように何もない。

書き書き。とりあえず用件は。

— 私 お見舞い の 品  何 か 買ってくるの 忘れちゃったんですけど —
「あ……あぁ」

それから、顔がいきなり色を取り戻した。笑顔色を。

「あはは、いいよ。もともと俺が勝手に連れてきちゃっただけだし。」
— ついてきたのは 私 だし —
「俺の仮の彼女として来てくれれば、なんの問題ないし」
— そこ は 悪い冗談 だと 思うから 本気に なれないし —
「それにちゃんとお土産あるから、ほい」

え? 先輩が背負っていたリュックサックから正方形の箱を取り出して…私に渡す。

— これ あたしの じゃ —
「いいんだよ。というかお願い、君から渡してくれ。あいつはこーいうのに弱い」

まだ、8歳だからな……。突然言霊がなくなったように思えるセリフを心なしか先輩がぼそっと言う。

— わかりました —

なんかもう、こうなったら全てイエスしかあるまいって感じだしねこれ。先輩から箱を受け取って抱える。

「じゃぁ、あけるよ」

先輩は言い切る前に扉に手をかけて、引いている。

ごうっと瞬時に風が流れて、向かい側の窓が開けられた室内にあるベットには布団をかぶった山一つ。
その山に先輩は声をかける。

「よぉ、こうた。“今日も”来てやったぞ!」
「……にぃ〜ちゃ〜ん。いらしゃーい!!」

それからベット上の山はくずれて……掛け布団ごと突進してきた!!

ずこっん!! もちろんこの布団は中でこれをかぶさっている弟さんの意思で動いている。だからお兄さんの方へ向って兄弟愛の象徴のように抱き合う……つもりだったのかな?

「あれ〜? おにいちゃん。胸部ほそくなった〜? それになんか柔らかいし……この香り、おにいちゃんじゃないな!!」

夏場の近いせいか厚手の毛布じゃないからかな……気付かれちゃったか。そうです、あなたが抱きついたのは、お兄ちゃんじゃないです。

「う〜んでもいい香りやぁ〜女の人かなぁ。あ、もしかしてナースさん?」

って、すりすりしないでぇぇ! って口頭で言えたとしても、喉がつっかえて何もいえなくなってしまうかもしれないぃぃぃ、これ。

「ひゅ〜浩太。初対面に対してすげーことすんなぁ」

もうっ先輩っ!感心してないで、早く放すようにいってくださいぃぃぃ。