コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.40 )
日時: 2011/09/05 01:05
名前: そう言えば、こしょうの味しらない (ID: PDV9zhSY)

「よし、これでいいかなぁ?」

水筒もといペットボトル、先輩から頂いた栞っぱいもの、デジタルカメラ、先輩から頂いた(TOMORROW×3 と額部分に書かれている)帽子、1000円以上のお菓子。
……おかしい。
もう一度リストを見る。おやつの欄には〝お菓子は300以内!! ※注、エイジは1000以上買ってくること、絶対!″ と書かれている。

「……あの二人に盛大にぼったくられるが明細じゃねーか」

俺の分がだいたい300円になうようにと削減してくる連中を俺は知っている。絶対にユトリ先輩と純一である。まぁ、このことから、どうやら俺はお菓子係にされていたようでしたっと。へっとぴり腰人間一号がここで生きてくとは夢にも思わなかったヨ。
その他、色々引っかかりながらも全ての用品をバックに詰め終わる。

さて、
清水とあの謎の会話から月をまたいで、今日は7月の第一金曜日。さすがにこの頃になると、気だるい梅雨の雨降りも気まぐれないたずら程度になっていて過ごし易い……わけない。くそ暑い。

換気のため開け放っている自室の窓からは夏の濃緑色のにおいはまだないものの、鼻や肌を取り巻く湿気は顕在していて、背中に逃げ場のない熱を感じる。蚊にも少々腕をかまれた。
その患部からの刺激を煩わしく思いながら時計を見つめる。
 
現在時刻は9:21っと。ボランティア部の朝は早いから早く寝なくてはならない。

背筋を伸ばすとコキコキと我ながら不気味な音が鳴った。周りを見回しながら腰をひねり、それを何回かやってから、ようやく部屋の窓を閉めようと近づく。

「うん?」

窓に映った像がドアの側に人が立っているのを知らせてくれる。後ろを振り向くと、そこには“みく”が立っていた。……あぁ、妹の名前よ。

「あれぇ? 兄貴もう寝んの?」
「うん、まぁね」

えー! と悲嘆を交えながらどしどし部屋の中に入ってくる。彼女の手元は何らかの板を抱えていた。

「オセロしようぜっての。こんな早くに寝たんじゃ、人生つまらんよぉ!? 」

なるほど、それオセロのボードだったのか。実のところ清水が持っているメッセージボードに似ていたので我が妹も……と思ってしまった。

そう言えば、清水も“みく”って名前だったような……つまり俺があいつを嫁さんにしたらあっちも“河合みく”になるんだろうし、そん時はどう呼ぼうか、そうか“みくたん”って呼べばいいのかにゃぁ? っておい、何言ってんだ。これが何かしらの因縁や腹いせだったらどうする。うん、でもみくたんと呼ぼう(すみません、夜は大体こんな感じです)

「はぁ、そんな考えだから常に遅刻してんじゃないのか?」
「私はただぁお兄ちゃんとオセロしたいの!」

むうっと頬を膨らませ上級者向けの上目づかいで攻めてくる。こ、これは、男ならだれでもイチコロなんだろう。けど、

「ばかやろう」

こつんと妹の額を軽くたたいてあしらう。残念だったな、俺はそっち方面じゃないんだ。
しかし同じみく関連なら……清水だったらコロっと逝っていただろう←怖いよねぇ女の子は。

「深夜は面白いことばっかだよぉ、兄貴。さぁ、君もお出でよぉ」

がしっ。

なんか妹の手が俺の腕を掴んできましたよ? なんちゅーかその目が野生というよりオブラートを捨てれば変態の目ってやつになる。

「わっくわっくだよ」
「洗脳する気かっ。止めろっての」

オニイチャンハ 、 マジメナノダカラ。

第一、お前の催眠術は当てにならん。この間だっって嘘っぱちの術に掛かってやったら、食べたオレンジが納豆の味になんてどーゆことだよ、せめて逆だろうが。

「部活で明日早いんだよ。勘弁してくれ」
「…………へぇ」

そこでようやく腕が解放された。蚊に刺された場所が相まってあとあと痒くなりそうだ。

「なにやってたの? 家ででもする気かね?」
「明日の準備だよ、ただの。色々あって遠足みたいになってますがね」
「遠足って、どこにい出かけるとみた」
「まぁ、とある介護施設に。そこで爺婆の救世主としてこの非力な腕っ節を使ってまいりますよ」
「へー、感心感心。てかなんなのそれ? 普通の部活なの」
「うん……なんというかボランティア部てところか」
「何〜!? あたしに黙ってそんな部活に入ったのけい」
「別に良いじゃんんか。なにか問題でもあんの?」
「おいよぉ。それじゃぁさ……」

そこでみくはため息まいた一息をついてから心中らしきものを語る。悲しそうで、でも仕方なさが多く含まれたその表情。

「それじゃぁ、別に全ての部活で普遍なんだろうけどさぁ。ほら、一緒に帰れないじゃん」
「…………そうだな」

今、少しだけ罪悪感に襲われたのは内緒だ。

「でも、いいよ私が決めることじゃないけど」
「そう」
「今日の兄貴とっちも楽しそうだしね」

妹が微笑みながら俺の表向きを評してくる。それには少し俺の中の頑固な軸を揺すられた気がして、照れくさい。

「頑張っといでよ、応援してるからさ」
「あいよ」

一応、誰かのために頑張るという明日の目標の対象が清水一人ってのも味気ないだろうし。
こいつの思いも受け取ったとしても罰にはなるまい!

……とまぁこのように、夜9:30あたりから俺は舞い上がってしまうのでした。