コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.48 )
- 日時: 2011/08/03 13:52
- 名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: PDV9zhSY)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id
トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー
明日、また明日、そのまた明日
—————シェイクスピア 「マクベス」より
主人公、マクベスは国王の暗殺をした忌まわしい自分を憎み始め、罪を意識しだす。いままで生まれることのなかった自分の良心が突然、罪悪感を襲わせ彼を苦しめる。それは日に日に彼自身を追い込むことになる。
マクベスはそんな苦しみが続いた“昨日”を、歩き回る人生の影法師と言い酷く嫌った。
そう、彼が心から目指せるのはただ一つ、明日だけなのである。
私はこの言葉が好きだ。明日、また明日、そのまた明日。私はマクベスのように“昨日”が嫌いな訳じゃない、むしろ思い出や懐かしさを含む過去の一部である昨日があるということは、なんか実態や質がわかないけど、悪くは思えない。
昨日は夕日が綺麗だった、昨日は友達とふざけ合って笑い合った、昨日は生徒会進行が潤滑に進んだ。
逆に昨日はテストの点がイマイチだった、昨日は関西弁を話す誰さんとまた喧嘩して、昨日はあんた将来ハゲルぜ、なんて言ってしまった。
けれども、どんな形になろうとそれは“思い出”なんだって、教えてもらったのでした、大切な人に。
佐伯友子は私の一番の親友であり、一緒だった中学では私同じく生徒会委員で優秀な会計員として努めてくれた。たしか、中学でも(なんと!)カイチョーだった私は(やはり)昔から勘違いや間違いが(結構多く)あったのだ。うぬ、隠したい事実が満載じゃ……。
そんな毎日が続く中、私はいつしか明日もどうせ同じなんだって考えるようになってしまっていたんじゃないかって思う。そんな時彼女が「マクベス」の抜粋した話を聞かせてくれたのだ。
彼女は言っていた。
マクベスは本当に怖かったのだろう。だって明日にも同様な……いやそれ以上の苦しみが待っているかもしれないのだからっと。
しかし、彼は明日を目指した、明日が苦しかったときはそのまた明日を、だって彼にはもうそれしかないのだからっと。
マクベスと私は違う。明日を目指す心地が、気持ちが、必死さが。
でもお互いにおんなじ明日を真摯に追いかけている、今も、“昨日”も。それはとっても不思議だけど、紛れもない事実だったりする。
ボランティア部の待機場所のなんかでっかいお部屋に通されてそろそろ10分が立とうとしていた。
すると、大体の高校のボラ部が集まりだして、それぞれ、自分の陣地を守るかのように固まっている……“私たち以外”は。
「たしか佐伯さんでしたっけ? 先輩の知り合いだったんですね」
「同じ中学で同じ生徒会に努めていたの。いわゆる戦友よ」
でっかいホールでの待機時間にエイジはそんなことを聞くる。
さて、桜高校ボランティア部の円陣と佐伯高校の円陣の中に私たちは属していた。
佐伯高校の連中との会話は思いのほか弾み、いい関係がつぐまれている。主に中心となって話を広めているのは純ちゃんと吉野だった。エイジは……やはりその容姿がネタにされているようね。そしてエイジは先ほどまで自身を揶揄するそれらに突っ込んでいた。
なんということでしょう。初ボランティア部活動で早速他校との交流という生徒会の陰謀がいとも簡単に叶ってしまった!! これでうちの生徒会連中も私の実力とやらを認めるでしょうぜ。まぁ、選んだ人材がいいからなんてプライドが邪魔しちゃって言えないじゃない?
「へ〜、でもせっかく会えたのにあまり元気なさそうですね?」
次いでエイジが尋ねてくる。でも先ほど「話に干渉しすぎてか、少しやけどを負いまして、ここで休みますてか少しブルーにさせて……」という理由で両高校の円陣から一歩離れたとこに座っていた私のもとにエイジが来た。うぬ、なにかしら墓穴掘って真っ白になってきたか、関心関心。
「え、うんまぁね。ちょっと昔のこと思い出してただけよ。友子とはなっがい付き合いだったんだからぁ」
たしかに、ほんとにいい子だったのだからって……私が言えた事じゃないかな
それはですね、どちらかというと、私の方が悪いことたくさんしてたし。……もしかしたら私はまだ、マクベス状態なのかなって思ったり?
不思議とそんな感じ。根拠っぽいのは実のところ思い当たらないし。ただ、彼女を見ているとあの頃の自分が……こう、心がチクチクしだす。
「長い付き合いだから、ね。私ってどう————」
「はい?」
「あはは、何でもないさ」
私はそういって彼の話を苦笑で流すことにした。いやぁ、こんな話エイジにしたところでねぇ? なにかが変わるわけじゃないだろうし、明日はいつもと同じ時間に、同じ間隔で来るだけなのだから。今は何しても無駄に思える。
——— 皆さん、そろそろミーティングを兼ねて今後の準備をしますので、各校のグループに戻って説明を聞いてください ————
突如、亀島さんが部屋に入ってきて早速切り出す。
「エイジ」
「はい? そろそろ集まんなきゃ……」
「元気で活力溢れるには何したらいいかな?」
「それは、先輩の特許だと思いますが」
「いいから、答えてくれたまえ」
「え〜と……青汁?」
「さぁいきましょ」
「ちょ、無視ですかっ!?」