コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー ( No.50 )
日時: 2011/10/08 00:10
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: GPHHIdp4)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

よくよく考えてみれば、幼馴染と言うものは、時に色々訳アリな性質を持つものなのかもしれない。

目の前の水の入ったボウルに大量に入れられたジャガイモを一つ取り、細かい所の土を洗い流し、毒性のある芽を包丁の角で、と順序良くこなしながらふと考えに浸った。

特に男女でのそのような関係はアニメやゲームの世界でまず、女性方の世話がいいのだとか。そしてそのまま両想い→恋人同士→いちゃいちゃ→TDL→観覧車……らしい?
参)もーう! そんな経験ね〜からわかんねーよぉぉ!! と作者が叫んでいます、なう。

ごほん……しかし、これはあくまで二次元思考で、しかも男女の観念。えっと……つまりですね。
この小説の作者さんの手に余り、作者のイメージとはかけ離れているということなんです。ごめんなさい。どうして俺が謝ってるのでしょう、ごめんなさい。
しかも、今回はその応用の女の子同士だってよョ〜厄介ですね☆ガンバレ雄次君! って……。

さて、
ボランティア部初活動で出会った佐伯さん。
ユトリ先輩のあの対応は少なからず彼女を敬遠している。でも、双方がそうし合っている訳じゃないだろうね、たぶんユトリ先輩の一方的なもので。証拠があの距離感だ。

俺たちが待機室に入った直後に扉越しに現れた佐伯さんだったけど、彼女と目があった瞬間ユトリ先輩の顔の歪め具合。先ほど俺たちが待機していた時だってそうだ。先輩は佐伯高校との円陣を一歩抜け出し、目を虚ろにして、重い回顧に浸るようなあの表情。

別に佐伯さんを嫌いとか、妬んでいるとか、そういう訳じゃないんだろうけど、昔になんか気まずいことがあったんじゃないだろうかっと疑問を覚える節がいくつか見られた。

それに、ユトリ先輩は「なっがい付き合いだった」と言っていた。それを何も中学校の頃だけを引き合いに出すのもつり合いが取れないような気がしたので、きっと小学校から仲が良かったということだろうか。

だから、今さりげなく幼馴染という単語が一瞬頭によぎったんだ。
それはもちろん、用いるべき単語であったのと同時に、実は俺にとっても珍しい事じゃないから。

だけど、まぁ。こちらは男の子(娘)同士と、まるであの二人に対立するような形になったこと。……いや納得できめぇ!

「何がって。理由もないんだけど」
「あー、なんだ? なんか言ったか?」

すぐ隣で同じく包丁を使用している純一が今の発言を確認してくる、と同時に包丁がまな板に与える連続したリズム音が耳を震わる。

「うんうん。何でもない……うわっ」

彼の方を向いて驚く。ほんの数十秒前に取り掛かった玉ねぎの千切りだが、既に3個分の玉ねぎがボウルの中から消えていた。しかも矢継ぎ早に切り捨てたはずなのに、あの鼻を衝く刺激のある匂いは一切なく、目すらその状況を把握していないらしく涙が滲んでも来ていない。……え、何ソレ?

「あー、腰いてぇ。学校なんかの業務用の台所は低すぎていないな。お前に合わされても困るのが何故わかんねーだかー」
「ほんまや、河合はええなぁ。“低くて” まぁ、欲しい分けちゃうがー」
「馬鹿にしてるでしょ! それもさっきからずっと!」

純一や台の反対側の吉野が作業場の低さや、ついでに狭さも嘆く。
ついでに要らん会話も交え、俺の集中力を削ぎ落としてくる。

可笑しい。確かに、この低位置の台所というフィールドでは身長的に言ってしまえば、明らか小柄な俺の方が有利なはずなのに。しかし、問題の材料処理スピードは純一にも、ましては対面の吉野にさえ負けている。……だから何コレ。

「河合、ジャガイモ終わらんのなら手伝っ」「結構だよ、吉野君自分でやるから大丈夫だもん」「一人でできるもん的なアレか、がんばれ(高校)一年生〜♪」

くぅ〜、玉ねぎの千切りやニンジンの乱切り如きを相手に落ち込むんじゃない俺!
何て言ったって、こちらはカレーの中でも準備が結構面倒なジャガイモ専なのだ量も多いいし! 

「ところで河合、ジャガイモ小さないか?」
「そんなことないさ、“芽も”ちゃんと切れてるし」「それって芽がある層まで切っとるんやないか!? やっぱ」「キルよ!」「……わかったわ」

な〜にいってんだろうねぇ?ちゃんと芽を“根こそぎ”取らないといけないじゃないの☆

「ほれ、不器用な癖に意地を張るんじゃない。こっちは俺と吉野君でやっとくから、鍋の準備頼むな」
「……うん」

純一の呆れた声におとなしく引き下がることにした。譲れないところもあるけど、流石にもうこの二人には迷惑はかけられないからね。それでも、俺の口はおかしなことをのたまう。

「別にさ。引き下がる訳じゃないんだけどね。ただ純一がやりたいって言うから……」
「「はいはい」」

……。
う〜、なんだかさらにバツが悪くなってしまった気分。
とりあえず、鍋に水を入れ、火にかける。火元を調節するため、少し屈んで鍋底を眺める。

「ところで、なしてここでカレーつくっとんのやろ? ここ、ボランティアやありませんしたっけ?」
「あぁ、それは今のところユトリと清水ちゃんがしてる。……あーでもなんだな。全体の参加人数が多いからってわざわざうちから、ピクニックの炊き出し要員が出るとはな。……あいつの大凶が関係してるとしか思えん」
「仕方ないよ。まだ、あまり知られた感じじゃないんだし」

純一の切実な吐露に弁解の余地はなかった。

「知名度における格差社会ってやつか? 腹立つな、そーゆーの」
「せやせや。なんちゅーかボランティアの表向きがほとんど私立っちゅーとこが何か胡散臭いんや。老人ホームのボランティア活動なんてそうそうあらへんさかいな、地方新聞に載っても可笑しくないためかもしれまへんな」
「ふぅ、通りであの佐伯高校まで来るわけか。それも理事長の娘さんが直々に」

水が入って重く、冷たい鍋。その下敷きにガスコンロの火が青色に輝きながらなんとか鍋を温めようとしている。それを眺めながら聞いた彼らの話は興味深い面もあれば、少々の違和感があった。何かはわからないけど、変な気分。おもわず、口をはさむ。

「でも、いいんじゃないかな」
「なにが?」

少し背伸びをしながら純一が答える。

「彼らの待遇が羨ましい訳じゃないんなら、別に。悪口なんか言う必要はないじゃないかなって」