コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: トゥモロー×3 オリキャラ募集しております ( No.53 )
日時: 2011/12/03 22:56
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: 1kkgi9CM)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

「テイク2————アクション!!」

くじ引きで決められたA班のメンバーたちは、さらに二分割され、第一部と二部に分けられてそれぞれの役割に配属された。

私とユトリ先輩、そして他のボラ部員4人で構成されているA班第1部は11時発のピクニックまで幼稚園児のお世話を請け負うことになって。ちなみに第2部は夕餉かかりで何か作るようなんだけど、吉野くんや、真田先輩、あと雄次もそっちの係になってしまった。

色々手伝うと言っておいてそうなるのだから、結局は頼りないんだから、雄次め。
きっと今頃、私の事なんか忘れて3人でワイワイやっているに違いない。でもこれから100人分ぐらいの夕食をどう作ろうって言うんだろう? 一応あとで応援が来るとか聞いたけど。それに、同級生の男子の料理ってどんなんだろう? っと少し気になっていたりする。

まぁ、どうであれ、頑張るって言ったのは私自身なんだから、あまり雄次にすがってばかりいられないし。それに、今はユトリ先輩が居てくれるし→余計不安なのはこの際隠して。

何はともあれ、このまんま突っ立ってるわけにはいきません。なんとか仕事を見つけようっとと、見回していると、板模様のフローニングと白い壁、ほんのりワックスの匂いがする園児用体育館の中央に子供たちとボラ部の人たちが集まっていた。
色々悶悶としている間に置いて行かれたみたい。すぐに駆けつけようと小走り。

すると、

「おりゃぁぁぁ!!」

と、園児らしき、でも園児に有るまじきドスの利いた声が聞こえた。やっと、中央に来ると、信じられない光景が目に入った。

あの、ユトリ先輩が-------既にボランティア活動なんだけど----------なぜか、バラバラに突進してくる十数人の園児たちの合間をジグザグにすり抜けながら一人ひとりの顔を一瞥して回っている。しかし、その速度的な物が尋常じゃない。なんかもう、一瞬で子供たちの顔という顔を認識、確認、保存して残像として消える。まさに瞬間移動だった。
そして鉢合わせた園児とは……園児が肩ぐらいまで飛び上がり(!?)回し蹴りしてるんだけど、先輩はそれを右腕を挙げることで受け止め、そのまま何もなかったように突っ走った。


なんか……張り切ってるんだね先輩←そう見よう☆。
きっと小さい子供たちが可愛くてしょうがないのだろう。
……そんなに言うほど可愛いの? って感じるのは私だけだと思うし。
他のボラ部も女生徒が二人いて、先ほどのボラ部入園式では合間に園児に挨拶したり、あまりのキュートさに写メ取りだしたり。まぁ、野次馬という名の暴挙に走りだす人も一人。無論、ヤジウマッシブルなユトリ先輩だ。やっと首が座るようになった頃の幼い子供たちでは、先輩のあの奇妙なスピードや写メ速度には反応できても目で追うことは不可能、できても色濃く残る残像のみなだったのはいうまでもない。ちなみに、例の4人方にも怪奇な視線を頂戴していた。

閑話休題。
そして、最後に二人ががりで突っ込んだ子に至っては、先輩は滑り込んでかわした。
それから体勢を整え振り向いた。両手の人差し指と親指で、手カメラのような長方形を作り、その枠の中を、じっくり被写体のシャッターチャンスを見計らうように見つめてから。

「バルス!」




(゜∇゜ ;)




「ぐ、ぐわぁぁぁ!!!」
「め、目が——!!」

次の瞬間、断末魔をあげ、その子は身体と精神の別れを迎えたような、そんな倒れ方をする。その子の近くで怯えている園児も某ムスカのように辺りを彷徨い、倒れる。
……何コレ?
ふっと空気が変わったのを感じた。
気付いてみると先ほどから先輩が高速をも凌駕し、廻り、そのアングルとやらに収めた園児たちが次々に倒れていった……。その子供たちのものだろうか、苦痛に耐える呻き声すらない沈黙が、昇華し、雰囲気となって私を脅かす。それに後ずさりしながら思った。
……何なの? この地獄絵図は、っと。現場は既に小さな人形がぐったりと、無惨に転がっているだけの修羅場と化してしまったのだから。

余計不安の“余計”が助長させた事態。想定通りしていた物に問題っぽいのが誘発され、現存し始めたザ・ユトリ先輩・ワールド(略TYW)に私は呆れよりも先に、膝が崩れ落ち始めるのを感じた。
背中が自然に石壁に支えられるような感覚に陥り、体が硬直する。

これが、ボランティアなの……? 違う、私が思い描いていた光景とは。園児との戯れはこんなんじゃない。こんな修羅場を誰が望んだというのだろうか、いや、誰も望まない。しかし、現実は余りにも残酷。

ユトリ先輩はたった一人、床上戦線で残った勇猛かつ残虐な剣士ごとく、嘆くかのように苦しげに声を挙げる。
「私が撮ったアングル、お前たちの心は全て元の主に還そう。あの子たちがこれから感じる幸せのために。私の“これまで”をそして“これから”を惜しまないためにお前たちの愛すた国王を殺した時のように。私はただ、明日の助けを求めるだけなのだ」


フローリングという名の血に染まった(←TYWでは)大地を踏みしめ、凛っとした表情で語る彼女を私は見つめることができなかった。