コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: トゥモロー&トゥモロー&トゥモロー(短編小説) ( No.8 )
日時: 2011/04/07 00:21
名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: LMtRhfuT)

6月の仄かな暖かい空気の漂う屋上に現れたのは先輩である純一さんだった。
彼は俺の目の前に来るやいなや、そのまま俺の横に腰を下ろす。

純一:「よ、雄次。やっぱここで食ってんのな。」

っと、横に居る俺の方へその不敵な笑みを向けながら言った。

雄次:「やぁ、純一・・・いや。真田先輩。」
純一:「いや、純一でいいからさ。つーかそう呼んで。」
雄次:「ん・・でも一応先輩だし。」
純一:「だから止めろって。俺、そういうの面倒だ言たろ?」
雄次:「はは、純一はいつでもそうだよね。」

昔から純一は仕来りや身分とか、何かと荘厳な物事は敬遠するタイプだったなと俺は思い返した。やはり、このあまり物事にはこだわりを持たない性格が純一らしい。

雄次:「・・・それでさ、何か用なの?」

そしてそんな性格のお陰か、純一には仲が良い人が同級生はともかく、1年や3年にもいる。
だから俺の元で昼食を取ろうなんてあまりない。つまり、今回の訪問は何か用があるに違いない。

純一:「ん?用か・・・あぁ、一応ある。」
雄次:「ん、なんだい?」
純一:「お前さぁ」

言葉の調子が急にハッキリしだして、それは純一の悪戯顔を止めさせ、真剣色に無理に塗りたくった。
全く真剣な眼差しが下手くそだなぁと思っていたら、気づくとその目は俺の顔面をしみじみ見つめていたものだから思わずのけぞってしまった。
ホント二ホンキ?もしそうなら、性格的に不意打ちじゃないか?!

雄次:「な、なに」

色々と恐れ多いが再度質問してみることにした。

純一:「お前、こう体だけじゃなくて顔も女っぽいよな。」

・・・カチン(実際にこういう音がしました。)
どうやら、彼はここまで俺をからかいに来た様子でした☆

雄次:「な、なにさ!悩んでるんだから言うなって、
それこそ前に言ったじゃないかよ!」

それにこの甲高い声すら女らしいのだから、何も言わせないで欲しいのも本音なんですよーだ!

純一:「カワイイよな、お前。」

・・・・・・・・・・・・・・。
え?

雄次:「・・・んなぁっ!!」

な、なんてことでしょうか
先輩なるイケメンがあろう事か後輩の所謂、“男の娘”に告白してきました☆
でもザンネン。俺はそういうの生理的にムリ・・・とかいってられない!!

雄次:「な、何言ってるんだよ!。ち、血迷ったか・・・!」

相手は先輩ですが、敬語を忘れても仕方ない事態です。
だって先輩が私の事好きだって、いや、まだ言ってないけどそういう事でしょ?
それで?そえで、その“男の娘”はどうすりゃぁいいのさぁぁ!!
あ〜駄目!事態を収拾できない。
ん〜もしかしたら、同じ状況に立たされた“女の子”もこんな思いになるのでしょうか?
いや、チゲー、根本的にチゲーっす。そもそも異性じゃねぇ〜!!

純一:「・・・すき・・・」

おええ!!
とうとうなにいってんだよっ、このセンパイ!EQ低いの?Gなの??パッケラローなの???

純一:「隙あり!!!」

ちょ、まさか?ここでか〜〜〜ぁ?いやもうちょっとにゃっと止めましょうよ!
いやいやいや駄目ですって!!今はまずいっすって後でなら・・・

純一:「コロッケ貰い〜。」

・・・え?
気づくとお弁当の中に小判状の空白が出来ていた。

純一:「こういうこと言うと、いつも動揺するよな。やっぱお前、盗む側にとってラクショーな相手だよ。」

さっきの純一の不敵な笑みが再起する。

雄次:「・・・あ〜そうか。ち、ちくしょ〜め・・。」

ようやく純一の考えが分かりました
つまり。純一は学食で品切れした品をどうしても食べたいとき、よく他人から奪っている。
今回は学食でなくなったコロッケを求めるうち、屋上にいる俺の所までわざわざ来たようです。他の人も被害にあっているが、実のところ一番被っているのは他でもない俺なんですヨ。
ということで後輩強姦事件フラグなし、埋め埋めってなんか違う気も・・・。

雄次:「意味わかんないよ。なんで。な、なんでさ・・・。」
純一:「いやだって、食いたかったし。コロッケ。」

いつも気分がよかった〜というか、がっかり〜といいますか・・・
ともかく複雑になってしまうのだからもう止めてくれ。

純一:「やっぱお前のお母さんの料理は旨いなぁ。今度口説いてみるかな?」
雄次:「・・・物が口の中にあるときは喋らないで。」

こういう時すら良いたいことをぐっと飲み込むのって大事だよね☆
清水、今回は守れそうだよ・・・。