コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Cherrytree road 〜桜の道〜 ( No.1 )
- 日時: 2011/04/09 10:21
- 名前: ハルナ (ID: HYBdaZWe)
第一章 桜の道の始まり
ひんやりとした空気が暖かくなり、春だと告げる。
今日はいっそう、強く感じる。
—それは、私の胸が期待でいっぱいだからかな?
ぴゅうっと吹いてきた春の風に、私のショートカットヘアが揺れる。
—やっぱり、春の空気っていいなあ!!
いつもとは違う、下駄箱。 ぴっかぴかの上履き。
そして、見慣れない教室。
私 帆原花苗は今日から6年生になる。
「がらがらっ!」教室の戸を、勢いよく開ける。
そして、前の席にいた親友を見つけ、花苗の顔がぱああっと明るくなる。
「おはよぉ、樹里ぃ〜!! 樹里のいない間、さびしかったよう。」
「うん・・・よかった、元気だったんだね。」
今話してるのが私の親友尾崎樹里。
春休みの間は3泊4日の旅行とかアメリカにいる親戚の家に遊びにいったりしていて全く会えなかったのだ。
「おいおい、お前たちずいぶん目立ってるぞ。それよりそこ、どいてくんない??」
こいつは、日野陽翔。6年間ずっと同じクラスだった。まあ、腐れ縁ってとこ。
教室の窓から見える篠田小学校自慢の桜の木が今年も花を咲かせる。
このころは、見るもの全てが新鮮で、輝いて見えたんだ。
花苗は転校生の紹介も上の空だった。
☆ ☆ ☆
「ねー樹里、うちのクラスに転校してきた うーんと、誰だっけ・・・。」
「保田?保田圭吾?」
「そーそー!保田! 樹里はどう思う?」
ちらっと樹里の様子を伺う。 ポーカーフェイスの樹里の表情は、よく読み取れないが、迷っているようなそんな感じに見えた。
「別に、普通だと思うよ。」
まぁ、そうかぁ・・・。 私は心の中でつぶやく。
「てかさぁ、うちのクラスいい男子、いるぅ??」
間もなく、樹里がこちらを向いた。
「・・・私、好きな人できた、よ。なかなかタイミング無くて言えなかったけど・・・。」
「えっ! 誰よ??」
「秘密だよ!? ・・・あの真琴くん。」
「あの真琴くんっ!?」
中谷真琴は、他クラスにも好きな子がいるほどのモテモテくんなのだ。
「遠巻きに眺めてたら、いつのまにか好きになってた・・・。」
これぞ恋する乙女!! 樹里は本気なんだ。
「もちろん、応援するよ!」
「へへ、ありがと 花苗ちゃん。」
「あっ、じゃあね、また明日。」
「うん、バイバイ!!」
どうやら、話してるうちに別れ道に来ていたようだ。
「中谷、真琴・・・か。」
目の前をはらはらと淡いピンク色の桜の花びらが舞い落ちる。
「きれーい・・・。」
花苗はいつまでも続く桜の道を歩く。その先は、光で満ちている。
花苗はまだ知らなかった。
恋という名の心のノートの最初のページに、真琴が刻まれることを。