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Re: Cherrytree road 〜桜の道〜 ( No.103 )
日時: 2011/05/01 15:14
名前: ハルナ (ID: 4to6kJuE)

試合会場での出来事 続き

「尾崎と桜音—」
真琴が、ぼそりと言う。
あ、いたんだという風に私は後ろを振り向く。
芽衣はきっと真琴たちがいるのに気がついたんだろう。
私はいつもの笑みを浮かべ、何事も無かったように装う。
「いいの。芽衣—あの子は、ちょっとおかしいから。」
「そういえば—1組内で色んな噂立ってるって聞いたことある。」
陽翔が言う。
「ああ、上目使いで超ぶりっこってるなんて俺も聞いた。けどさ—男は気付かない奴、可愛いって思ってる奴だっているんじゃね? 桜音はもともとああいう奴じゃん。—なぁ?」
「お、真琴君もしや桜音のこと・・・!?」
私は興味津々で聞いていた。
それに普段、男子と話すことがあっても男子同士の会話を聞くことは滅多にないからだ。
今、真琴の意見が聞ける。
その人の好みの女性になろうとするのが普通だろう。
「んなわけねーじゃんかよ!」
「ほぉー俺もだけど・・・。」
ハハハッ!と無邪気に笑う二人を見て思う。
いいな—男子って。
女子は、あんな風にはならないよ。
さっき会ったあの人のことを思い出す。
その傍らで真琴が芽衣のことを好きじゃないことを知り、安心している自分もいた。
   ☆   ☆   ☆
その夜、芽衣の言葉を思い出した。
『どん底に突き落としてやる 地獄の日々に—』
これはきっと、「地獄の日々にしてやるから覚悟しておけ」とでも言いたかったのではないか。
地獄の日々って・・・脅しでしょ? どーせ。
やっぱ芽衣って馬鹿だ。そう思って、眠りに着いた。
けっこう先に—私の考えは甘かったと実感することになる。
芽衣はただの馬鹿ではなかった。
悪知恵だけが働く、利口者だった。