コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Cherrytree road 〜桜の道〜 ( No.110 )
- 日時: 2011/05/15 21:52
- 名前: ハルナ (ID: yMr7nvgj)
崩壊 続き
靴を潰しながら、かつかつと階段を下りる。
部活をサボって帰ろうとしている俺。
実質、一回休んだだけで差なんてつくわけねーし。
スッ、ヒィッ、ファ・・・
妙な雑音が聞こえる。
それも、6の3の下駄箱から—。
それは近づくにつれ、誰かのすすり泣きだということがわかった。
あれは—。
「帆原!?」
姿を認識し、声をかける。
うなだれていて、顔を下げている。
聞こえたようだが、返事は無い。
「圭吾だよ! 何したの?」
俺だということに気付いたのか、真っ赤な顔を上げた。
「保田、たすけて、よぉ……。」
弱々しい、今にも途切れてしまいそうな声で花苗は言った。
「まず来て!立てる?」
力の抜けた体を支えながら、1階にある教室に連れて行った。
「痛い?どっかぶつけたの?」
首を横に振る花苗。
「ごめんね、保田。ちょっと、待って・・・。」
「いるよ、俺は。」
静かな教室に二人。
廊下からは、部活で校内を走り込みしている生徒の声が聞こえる。
どんな理由であれ、俺はびっくりした。
いつも明るく、強いと思ってた花苗が、こんなに取り乱すなんて・・・。
次々にぽろぽろと零れ落ちる涙は、止まる気配が無い。
「あのね、あのねっ……。下駄箱に—手紙が入っていたの。私のことが大嫌いな人から。」
落ち着いた花苗が、俺に今の気持ちを素直にぶつけてくれた。
「私が、何をしたっていうの。どうして—」
「もお、いやぁ・・・」
誰だってこんな時はあるもんだ。
俺は黙って励まし続けた。
☆ ☆ ☆
「保田。さっきは、迷惑かけたね。」
「誰だって、あんなことはあるから大丈夫だよ。あ、それと—」
「圭吾って呼んでいいから。」
「うん—努力する。事情は、いつか話すから。」
いつかってきっと俺が知ることはないだろうな。
そう思いつつも頷く。
「分かった。辛くなったら、いつでも頼って。」
「本当に、ありがとう。保田いや、圭吾がいなかったら私、どうなってただろうね。」
花苗の表情が柔らかくなる。
それを見て、一安心。
「じゃあ、ここでいいよ。また、明日。」
「うん、気をつけてね。」
今は無理に聞けなかったが、手紙の内容を知りたいって思う。
俺が関わることはまずないけれど。
じゃあ、関わってやれば—?
フッ—心の中で軽く笑う。
そんなチャンス、あるだろうか—?
花苗と別れた道で、目に入った葉桜の並木。
咲いて、枯れて、咲いて、枯れて・・・その繰り返し。
前は嫌じゃないのかなあなんて思ってたけれど、今は羨ましつつもあった。
この気持ちは、変わるなんて分からないから・・・。