コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Cherrytree road 〜桜の道〜 ( No.111 )
- 日時: 2011/05/30 21:49
- 名前: ハルナ (ID: NTBCloh9)
第十四章 2回目の席替え
「ん、で?圭吾くんには、その紙の内容言ったの?」
「言えるわけ無いじゃん。」
今は、中休み中。
トイレで、蓮華と二人きりで話している。
「ふぅん。そっか。花苗もいろいろ辛いね。また、相談に乗るっていうか一方的に聞くだけでよかったらまたするからね。」
「うん…ありがとう 蓮華。」
「あ、そういえば修学旅行の班張り出されているはず。見に行こう!」
「うん、行こうか。」
私たちはトイレを出た。
いよいよ、修学旅行シーズン。
今からあと2週間くらいで修学旅行がある。
日程は10月15日、16日、17日の三日間。
行き先は函館。
みんなで一夜を明かすなんて、楽しみで胸が張り裂けそうなくらい。
張り出されている紙に、沢山の人が群がって見えない。
背の高い蓮華が背伸びをして見る。
「どお?」
何秒か止まった後、険しい顔つきをする蓮華。
なんで?と思っていると前の人たちが抜けたので見ようと前に行く。
7班
泉谷拓
片瀬莉菜
尾崎樹里
保田圭吾
帆原花苗
日野陽翔
だからか・・・。
「尾崎さんと……。」
蓮華は尚も険しい顔つきで、言葉を濁した。
言いたいことは分かってる。
それには答えず、蓮華の名前を探す。
9班
金木蓮華
中谷真琴
・
・
・
真っ先に目に入ったのはこの二人の名前だった。
「蓮華は真琴くんとだね。」
「うん……」
「複雑になっちゃったね。」
鐘が中休みの終わりを告げる。
花苗はさっと360度向きを変える。
「戻ろう。今日席替えじゃん。」
☆ ☆ ☆
前はあんなに楽しみだった席がえが、今ではすっかり嫌になった。
それは、この席が楽しかったから。
授業時間に大笑いしたことだってあった。
そしたらみんなで注意されて…。
などと思い出す。
この席を離れたくないよ…。これは本音だった。
機械的に、前と同じくじ箱から一枚紙を引く。
「2」
雑に書かれた字。
今の席にバイバイと告げ、2番の席へ向かった。
ここだ…。
「ま、真琴くん・・・」
斜め前の席にいる真琴が、くるりと振り向く。
「はは。一番前なんて、ツイてないな。」
嬉しかった。
胸が詰まりそうなくらい、嬉しかった。
私は半分涙目で、いすに腰掛ける。
しばらく胸の高鳴りを抑える為にじっとしていた。
「はーなえ!よろしくね!」
前から、蓮華が顔を覗き込むように見ている。
「わ、蓮華! やったぁ、席近い!」
隣に来たのは、泉谷拓という修学旅行の班でも一緒の男子生徒。
真琴と蓮華が同じ班にいるだけで、とてつもなく安心した。