コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Cherrytree road 〜桜の道〜 ( No.23 )
- 日時: 2011/04/19 19:16
- 名前: ハルナ (ID: WPJCncTm)
第五章 樹里の思い
「ハッピーバースディ樹里!!」
私はそう言いながらラッピングされた袋を手渡す。
そのために眠い目をこすりながら朝イチに来たのだ。
「わぁ ありがとう、開けていいかな?」
「モチロン!」
きっと樹里の目にはカチューシャ、ヘアピン、ヘアゴムなどが映っていることだろう。
「樹里髪長いから、ヘアグッツをまとめてみたんだけど・・・。」
「かわいい、ありがとぅ!!」
やった! 喜んでもらえるとこっちも嬉しい。
「おーい帆原。これCDな。じゃ、おれ朝練あるから急ぐな!!」
私は樹里の目を気にしながら話す。
「あ、そーっだったね。どーもね!」
うっかり、忘れるところだった…
放送委員会で使うCDを真琴に頼んでいたんだった。
「真琴くん、朝練大変そうだね…。」
窓に近づきながら樹里が言う。
横から見えるその目は、とても優しい。
「・・・真琴くん、練習頑張っているよ—。」
あの日から、真琴とはいろんなことを話すようになった。
教室には人が増え、だんだん騒がしくなってきた。
「花苗ちゃんも、リレーで補欠なんでしょう?」
「うん、一応ね。で、運動会まで2日しかないから部活はなし。まあ実際、休む人なんていないでしょ!」
「そっか。」
けっこう軽い口調で言ったのに、樹里は表情の1つ変えずにこちらを見ている。
その目は、ちょっと怖いくらいだ。
その時、がらりと大きな音を立て、教室の戸が開いた。
そこには朝練に行ったはずの真琴がはあはあ言いながら立っていた。
真琴は私たちの前に来て、こう告げた。
「帆原 あのさ…っ。お前にリレー、当日出て欲しいんだけど—それも—」
「はあっ?」
その内容は、リレーで真琴につなぐ予定の片瀬莉菜が当日欠席というのだ。
だから、女子の補欠の私に出て欲しいんだと。
私はえっ?ちょ—などといって現状を整理できなく、真琴に引っ張られて校庭へと向かった。
残った樹里はさっき聞いた会話を思い出していた。
花苗ちゃんは気づいてなかったけど、ここは1Fだから、会話ごと聞こえたんだよね—
—「今連絡が入ったんだけど、莉菜が当日欠席だって!」
「じゃ、女子の補欠呼びにいかないと!うんと、誰だっけ?」
「帆原だよ!じゃ、ダッシュで連れてくる!」
—それがなんで真琴くんなの?
・・・なんで私、花苗ちゃんを—信じることが出来ないんだろう。
でも花苗ちゃん貴女にも十分私が不信を抱く理由があると思うのよ—?
樹里は1人 校庭を見ていた。
その目は、鋭く、冷酷なものだった—