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Re: Cherrytree road 〜桜の道〜 ( No.34 )
日時: 2011/04/19 19:08
名前: ハルナ (ID: WPJCncTm)

第6章 運動会(前編)

5月も終わりに近づいたこの頃。
今日は、篠田小学校の運動会です。
今、行進が終わったところでの天気は晴れそうだけど晴れない曇り。
もしかしたらかみさまが私にリレーを頑張れといったのではないか。

実は雨でリレーが中止になればいいなんて思ってたりして・・・。
一方、私の足はリレーの練習と運動会の練習が重なり、悲鳴を上げていた。
走るとズキズキ痛む。
—がちゃがちゃ!
突然、後ろのほうで何かが倒れる音。

「…!蓮華ちゃん、大丈夫?!」
駆け寄って見ると、蓮華の周りにはいすが倒れている。
その周りに重そうな段ボール箱があるので、きっとこれを運ぶ時に倒したのだろう。

横で蓮華は足を押さえているので事情を聞くと、水たまりに入ってしまい—今の状況に至る様だ。
くつしたはぐっしょりぬれている。
「ちょっと、待ってて!」
こんなことがあろうかと予備に持ってきた靴下が活躍するとは。
私は委員会の仕事がなかったので、進んで手伝った。
「花苗さんありがとう。すごく助かりました。」
蓮華がぎこちない笑顔で言う。
しばらく笑っていないのかなと私は思った。
「こちらこそ!困った時はお互い様!!また何かあったら言ってね!」
人助けって気分がいい!!
にこにこしながら戻る花苗を、蓮華は戸惑いながら見つめていた。
   ☆   ☆   ☆
いよいよ、次が6年生の技能走。
今年は借り人競争らしい。
先生が貴方に会いたくて…とかいう微妙なタイトルをつけたのだが。

パーン!と4回目のピストルを聞き、タッと走り出す。
ボードに書いてある人を連れてくるというルールなのだが—
ボードには「バスケ部6年男子」と書かれてある。
「誰かバスケ部6年男子はいませんか〜?!」
返事はない。
どーしよ。3人はもう行っている。
「おれ おれ〜〜!!」
先に行った保田が前に出てきた。
チャンスッ!!
手をとり、全速力で走る。
ざっと50Mくらいだが、足の痛さが邪魔をする。
1人は抜いた。
あ、スピードが—。
「あきらめるな!」
保田は力強く引っ張ってくれる。
よしっ!もう1人抜き!!
でも1位の人は速そう。もうゴールだ…!
いけっ!!
前の人がスピードを落としたところを私たちは最後まで精一杯走った。
ほぼ同時にゴールしたのではないか。
1位か2位か・・・。
係の人は悩んだ末、2位のところに連れて行った。
頑張ってくれた保田に申し訳ない…。
「あー惜しかったな。帆原はリレー、頑張れよ!!」
みんなから応援してもらって、失敗はできないな—。
私は不安が顔にあらわれないようにして言った。
「・・・ありがとう! リレー、頑張るね!」
にこっと笑い、帰ってった保田に手を振る。
ホントは、怖かった。
私のせいで抜かれたとか言われたら—!
・・・プレッシャーで、一杯だった。
その時、花苗は周りなんて見もしなかった。
—桜音芽衣は、圭吾の顔が花苗に握られた手を見て微かに赤くなったのを見逃さなかった。