コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: おとぎ高校 のんびり部 ( No.1 )
- 日時: 2011/07/25 17:40
- 名前: ハナビ (ID: j.y7OH4U)
連載開始なのです!(^^)/
頑張っていきま〜す☆
第一話・爆弾のお話。
ここはとある町の普通の学校。その名も「おとぎ高校」。
今日もこの学校でのんびり活動の行われている部がひとつ。
ぐぅ〜。
「……はらへったぁー。涼〜、おやつ〜。」
「今、スイートポテトが出来ますからね、桃太郎。」
鬼山桃太郎は、机にあごを乗せながら涼太に言った。
この桃太郎こそ、この「のんびり部」をつくった人物である。
今、スイートポテトを製作中の彼は、爽やかメガネ男子の浦島涼太である。
お菓子作りが趣味なため、桃太郎に有効活用されている。
二人がいる場所は、学校内の空き教室である。
ここが、のんびり部の活動拠点になっている。
部屋の中には、大きなテーブルに、6つの椅子、簡易ベッド、いくつかの観葉植物、白い戸棚が5つ、そしてなぜあるのか、システムキッチンがある。
……なんとも不思議な活動拠点である。
そこへ。
扉を開け、一人の少女が入ってきた。流れるような金髪をポニーテールに結っている。一歩踏み出したその細く美しい足は、これでもかというほど長い。これこそ、美脚である。その少女は入ってくるなり桃太郎にこう言った。
「ちょっと、桃!あんた、また数学の授業サボったでしょ!」
「うん!さぼってやった!お菓子食べてた!」
「罪悪感のかけらもないのね、あんた……。」
この少女は、桂白雪という。白雪は、生徒会長を務めている。そのためか、世話焼きで、アネゴ肌なのである。この日も、授業をさぼった桃太郎にお説教をしてやろうとしたのだが、開き直られ、その気が失せるのであった。
「まあまあ。いいじゃありませんか。さ、スイートポテトが出来ましたよ。白雪も座ってください。一緒に食べましょう。」
涼太がにっこりほほ笑み、白雪に席を勧めた。
「うっ……。お、おいしそう……。しょ、しょーがないわね。今回は勘弁してやるわ。」
「やっほーい!おやつおやつ〜!いただきまーす!」
桃太郎が、大好きな時間がやってきた。
両手を突き上げ喜んだのは言うまでもない。
「はい、どうぞ。」
スイートポテトを幸せそうにほうばる桃太郎。その横でちょっとかじってみる白雪。その二人を、母親のような目で見守る涼太。
そこに流れる幸せな時間。それをぶち壊すように嵐がやってきた。
バタンッ!
「なんだよっ!ビックリするじゃんか、スン!」
そこに立っていたのは、柳一寸であった。一寸は、すごく小柄な少年である。小さな肩を上下に揺らしている。左手には、自作のクマのぬいぐるみを抱えている。
「皆、聞いて!実は……って、違うよ姫〜。部室はこっち!そっちはただの大きい窓だよぉ〜。」
「……まち……がえた……。てへ……。」
一寸に引き戻されたのは、滓眠姫(かすみひめ)である。薄い金髪をリボンで緩く結んでいる。いつも眠そうなため、喋りもとぎれとぎれなのである。右手には、枕を抱えている。
「で、どうしたのよ。だいぶ慌ててるけど。」
一寸は、少し戸惑いながらも意を決したように、皆に向かって叫ぶようにいった。
「あのね、僕の教室に……爆弾があるんだっ!」
「もう最終回フラグ!?早くねっすか!?」
激しいテンションでつっ込んだのは、桃太郎である。思わず、両手に持っていたスイートポテトを落としてしまったのであった。
涼太は、それを見ると掃除用具入れから雑巾を取り出し、床を拭く。
そして、言った。
「いいんですか?そんな大変な時にここに来て。」
「だって、今クラスには僕と姫しかいないから不安で仕方ないんだぁ……。お願い、皆。助けてよぉ……。」
一寸がうつむくと、桃太郎が一寸の肩をたたき、言った。
「だいじょぶだって!俺らに任せとけって!なんとかなるし!」
「桃クン……。」
「そうと決まったら、準備が必要ね!」
白雪は、椅子から立ち上がり人差し指を立て、笑顔で言った。
「どこにやったかなー。確かこの辺にしまったような……。」
桃太郎は、部室の戸棚をあさりはじめた。
五分後。
「さあ!野郎ども!いくぜぃ!」
「ちょとまてちょとまて。」
白雪は、行く気満々の桃太郎の肩をがっちりとつかんだ。
「どこ行く気よ、あんた。」
「どこって、今から楽園に……。」
「ごめん。聞き間違いかもしれないわ。もう一回言って。」
白雪は、頭が痛そうに額に指先を当てた。
「今から楽園に行ってくる。」
桃太郎は、白雪の気持ちを知ってか知らずか彼女の望まないことを言ってのけた。
「やっぱりそう言ってたんだ……。」
「桃クン、戦場じゃないの?」
一寸が首をかしげ、言った。
「爆弾なんて、なかなか経験できる事じゃないだろ?だから、楽園……すなわち、パラダイス、というわけだ!いくぞっ!野郎ども!」
「だから。待ちなさいって言ってるでしょ。」
力説し、再び鎧かぶと姿で部室を出て行こうとする桃太郎を、白雪は肩を先ほどよりも強くつかんだ。
「なんだよう、白雪ぃ〜。」
「何で、鎧かぶとなのよ。戦に行くんじゃないんだから。脱いでいきなさい。」
「いや、だって……。爆弾危ないし。戦場だろ?」
「さっきと言ってること変ってるけどっ!?」
白雪が桃太郎につっ込むと、
「……いざ……出陣……。とりゃー……。」
今までおとなしかった姫が、どこから取り出したのかハリセンで白雪の頭をはたく。
「ひーめー……?ぬあーにすんのかなー……?」
はんにゃのごとき顔でにらまれても、姫はびくともしない。
「たく、しょーがないわねー。どいつもこいつも。桃、かぶと脱いだ?って、あれ?桃とスンは?」
白雪が残っていた涼太に聞くと、
「二人で先に行きましたよ。あ、かぶとは脱いでいきました。」
と、笑顔で言う。
「はあ〜……。もう、いつも勝手なんだから……。姫、涼。あたしたちも行くわよ。」
「……はあい……。」
「行きましょうか。」
三人は、部室を出て桃太郎と一寸の後を追った。
「スンの教室って、ここよね……。」
白雪、姫、涼太の三人は桃太郎と一寸の後を追い、教室に辿りついていた。
「……おー……ぷん……がらがら……。」
姫が、白雪の後ろから出てきて扉を開けた。
すると。
「ちょ、おい!スン!それせこいぞ!」
「せこくないもん!僕の実力だもん!」
二人はテレビゲームの勝敗でもめていた。
後ろの「鬼」に気付かないまま。
「なにしてんだああああ!このすっとこどっこいどもがああああ!」
白雪が、地割れするのではないか、というくらい、これでもかというほど叫ぶ。
それに気づいた桃太郎とスンは、
「なんだよお、白雪ぃ〜。あれか?仲間に入りたいのか?」
「なんだあ、可愛いな〜。雪ねぇは〜。」
二人でテレビゲームをしていた二人は、のんびりと答える。
続きは、また次回ということで。
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でわでわ。このへんで。