コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: おとぎ高校 のんびり部 ( No.15 )
日時: 2011/06/23 18:58
名前: ハナビ (ID: j.y7OH4U)

久しぶりの更新ですっ!




第二話・おいしいもののお話。(no.3)





「ほっときなさい、スン。そのうち治るわ。姫、看病よろしくね。」

「……はあい……」

 姫は再び桃太郎の看病に専念する。

「てゆーかさ〜。この小説、今回はどんな題名だっけ〜?」

 一寸が、小説の登場人物らしからぬ発言をする。
 すると、涼太がどこからか一枚の紙を取り出してきた。

「ええと……『おいしいもののお話。』……と、書いてありますね。」

「ああ、そういえばそうだったわね。」

……小説の登場人物だという自覚がないのだろうか。

「じゃあ、ひとりずつおいしいと思うものを言ってみる?」

 白雪が二人に提案する。

「そうですね。」

「やるやる〜!」

「じゃあ、まずは……涼から。」

 白雪は涼太を指差していった。
 涼太は少しメガネを直して、

「ええと……。僕はやっぱり和食がおいしいと思いますよ。」

 と、いつものさわやかスマイルで言った。

「あんたらしいわね。じゃ、次は……」

「はあ〜いっ!次は僕が言うよお!」

「激辛料理でしょ?はいはい。わかってるから。」

 白雪は、虫でも払いのけるようにした。

「あたしは、フランス料理かなあ……。」

 と、白雪が言うと一寸がいきなり立ち上がり、

「雪ねぇ、そんなの食べたことあるのっ!?いいなあ……。」

 一寸は目をキラキラさせながら言う。

「え〜?普通よ、こんなの。うちじゃ毎晩だもん。」

 白雪がふしぎそうに言った。

「スン、白雪はハーフなんですからおうちで作れるんですよ。お父様がシェフでいらっしゃいますし。」

 涼太は、人差し指をピンと立てて言った。

「そっか〜……。ねえ、涼ちゃん!今度フランス料理作って!」

「ええ。いいですよ。勉強しておきます。」

 目をキラキラさせている一寸。それをニコニコしながら見ている涼太。
 これを見た白雪は、

「うちに来ればいいんじゃ……。聞いてないか。」

 と、ため息をついた。
 白雪は、突然あることを思いついた。

「ねえ、スン。あんたってすごい味覚がおかしいけど……。口の中、どうなってるの?」

「ん〜?皆と一緒だよお〜?」

 と言いながら、口を大きくあける。
 すると……

「……ねえ、あんたの口の中……なんかいるんだけど。涼、見てみて。」

「ええ。分かりました。」

 涼太は、一寸の口の中をのぞきこんだ。

「おや、ジャワジャワじゃないですか。」

「なにっ!?ジャワジャワってなんなのっ!?」

 白雪がすごいいきおいでつっこむと、

「僕のペットですよ〜。おいで〜、ジャワジャワ〜。」

 ジャワジャワは、ウサギとライオンを足して2で割ったような感じの手のひらサイズの動物である。

「なんだ、以外に可愛いじゃない。おいで、ジャワジャワ〜。」

 と、白雪が言うと

「がぼっ。ががぼっ」

「ねえ、スン。あんたいつの間に芸を身につけたの?」

「え〜?僕、なにも身につけてないよお〜?」

 一寸が、首をかしげて言った。

「ああ!じゃあ、涼か!あははっ!あんたおもしろいわね〜。」

「僕、何も言ってないですよ?」

 涼太がにこやかに言った。
 白雪の表情がどんどん険しくなっていく。

「まさか……。ジャワジャワ?」

「がぼぼっ!がぼ〜。」

 ジャワジャワは、白雪にほおずりする。
 白雪は、しばらく固まったのち、

「さわんなっ!!きもいし!!てか、お前は何の種類だよっ!がぼぼってどんな鳴き声だあああああああああああっ!!!!!」

 その場が凍りついた。
 白雪は、肩で息をした。

「まあまあ。落ち着いてください。さ、座って牛乳寒天でも。」

 涼太が白雪と一寸に席を勧めた。

「そうね……。」

「わ〜いっ!デザートだあ!」

「おれも食うっ!」

「あんた、もういいの?」

 白雪が、先ほどまでうめき声をあげていた桃太郎を見て言った。

「おう!姫がなんか、注射打ってくれたぜ!なっ?姫。」

「……うん……。」

 姫は枕を抱え、白雪の横に座った。

「姫、あんた……。もしかして……。」

 白雪が苦笑いを浮かべ、言った。
 盛り上がる桃太郎と一寸をしり目に、

「……あのヤクを……ふふ……。」

 姫の目がきらりと光る。

「ふふ、で済ませていいんですかねえ……。副作用は大丈夫なんですか?」

 涼太は、姫の前に座る。
 姫は、牛乳寒天を食べながら、

「……ももた……は……体質が……特……殊……だか……ら……。」

「平気なのね。まあ、そんな感じはするわ。」

「というか、その薬は使っていいんですか?」

 涼太は、紅茶を入れながら姫に言った。

「……うちの……おと……さんが……違」

「そ、それ以上言ったらだめよっ!!」

 白雪が姫の口をふさぐ。

 その横では、桃太郎と一寸が楽しそうに話していた。

「桃クン……。僕、なんか……おなか痛い……。」

「お?あ、じゃあ……これ使えよ!」

 桃太郎の取り出したものは、先ほど姫に打ってもらった薬である。

「これで、すぐ治るぜっ!これ、飲んでもいいんだってさ!」

「そおなんだあ……。」

「ほい、スン。飲めよ。」

「ありがとう……。」

「なにやってんの!あんたたちっ!!!」

 白雪が止めたときにはもう遅かった。
 一寸は……

「なんじゃあ!おめえらっ!!わしになんか文句があるンか〜!!!」

……おっさんになっていた。

 その一寸を桃太郎、涼太、白雪で止めようとしている。
 姫は、ぽつりといった。

「……題名……関係ないじゃん……。」



第2話・おいしいもののお話。完。