コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: くだらない為、無題! ( No.3 )
- 日時: 2011/07/05 22:15
- 名前: 仁都 (ID: qcI1n3YR)
第1話 「入部式」 Part2
翌朝ーー
私は走っていた。
なぜってそりゃ......
遅刻しそうだから!!
あーあ、高校入ったら、朝はちゃんと起きるって決めてたのになぁ。
て、やっぱり決めてただけじゃ無理か。
仕方ない、仕方ない。
バスや電車通学なら乗り遅れてハイ、おしまいってとこだったし、ラッキーじゃない?
心の中では自分を慰めてるものの、走る足は止められない。
歩いて通勤しているサラリーマンやOLが恨めしい。
あなた方はまだ余裕があっていいでしょうけど!!
......なんで逆ギレしてんのかな、私。
なんてどうでもいいことを考え、横断歩道の信号に何度も足をとられながら、なんとか学校の敷地に踏み入れた。
よし!近道すれば間に合うかもっ
本来なら曲がるべき校舎の角を直進する。
そういえばここ、近道ってことは知ってたけど、通った事なかったな。
そんなことを考えながら進むと、校舎裏の、少し寂しい所にでた。
昇降口を経由しないで、こっちの階段がある方からあがると、早いんだよね。
......この際、上靴はなくても気にしないことにしよう。うん。
そのとき、足がなにかにつまずいた
「わ、あっ......!」
勢いをつけて走っていた分、転び方も派手になってしまった。
「いったぁ!」
「......おい、今俺の足蹴ったのはお前か」
「は......?」
人がいないはずの場所・時間なのに人の声がしたことに驚いて、返事ができなかった。
「だから、俺の足を蹴って転んだんだろ、お前」
すごく不機嫌そうな男の子がいた。
とても整った顔してるのに、ううん、綺麗な顔してるから、睨まれると怖い......
まるで、今起こされた、寝起きの悪い子どもみたい。
......まさか、今起きた?
こんなところで寝てたの?
「口も聞けないのか、え?」
あ、今ちょっと頭にきた
そりゃ蹴りましたけど。
ここで寝てたそっちがわるいんじゃないの?
「どうもすみませんでした。でも、そろそろ起きれば?」
「ああ?誰に口きいてんだよ......」
「あなたですけど」
......沈黙。
すごい睨まれてるけど、負けるもんか!
イライラして睨み返す私の頭に、聞き慣れた音が響いた。
頭じゃなくて......耳から?
なんだっけ、この音。
......あ。
「予鈴っ!」
私は慌てて駆け出した。
こんな人にかまってる場合じゃなかった!!
教室に駆け込むと、まだ先生は来ていなかった
セーフ!
「あ、ちょっとちょっと! 遅かったじゃない。」
「沙耶。おはよ。ギリギリセーフでしょ?」
沙耶はいつものあきれ顔で聞いて来た。
「どうしたの? なにかあった?」
「寝坊......と、ちょっとね」
不思議そうな顔の沙耶に説明しようとしたその時、先生がやって来た。
仕方なく席についたけど、後で絶対聞いてもらおう。
そうしないと腹の虫がおさまらない!
あー、思い出したらまた怒れてきちゃったじゃないの!!
独り静かにふつふつと怒りと煮えたぎらせていた私は、先生のある一言に目が覚めた。
「えー、先日提出してもらった入部届は、全員分受理されたから、今日から部活に参加するように」
あれ?
私、白紙のまま出したんだけど......
しばらく先生の連絡は続いたけれど、結局部活動について触れたのはその一言だけだった。
「決めてたの?」という顔でこっちを見てくる沙耶にも、「さあ?」と仕草で返すことしかできなかった。
SHRが終わった後、私はすぐに先生のもとへ飛んで行き、さっきの件について質問した。
「あの、先生。私、入部届出してないんですけど......」
「ん? 昨日はクラス全員分あったぞ?」
「出した事は出したんですけど、白紙のままで」
「ああ、あれな。大丈夫、あれはあれで入部できてるから」
「は......?」
「いや、俺も詳しい事は知らんが、あの部は、まあ、ほら......個性的でおもしろいらしいぞ。」
「あの部って、どの部ですか」
「さあ......なんていうのかは分かりかねるなぁ。そこの表に活動場所が書いてあるから、とりあえず放課後に行ってみろ、な?」
それだけ言うと、いそいそと教室を出て行ってしまった。
もう、部の名前くらい教えてくれればいいのに。
それとも、そんなに困り者の部なの......?
少し不安になりながら、1人ごとに所属した部を記した表を見てみる。
私の名前の横には「 部」、活動場所は「別館・特別授業用室」とあった。
部の名前もかいてない、活動場所が別館の部......?
私の不安は募るばかりで、心配そうにしている沙耶に苦笑を返すのが精一杯だった。