コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: くだらない為、無題! ( No.5 )
- 日時: 2011/07/05 22:35
- 名前: 仁都 (ID: qcI1n3YR)
第1話 「入部式」 Part4
なに、これ......
丸眼鏡の女生徒のとりだした「それ」は、大きさが私のー私の身長は女子高校生の平均くらいだけどー腰あたりまではあろうかという巨大な紙製の円錐だった。
巨大な「それ」にはおよそ小さすぎる星やらハートやらのシールがこれでもかというくらいに貼られいて、ごちゃごちゃしすぎてるな、なんて思ってしまう。
「どうどう? こういうおめでたいときのために用意しておいた、自家製巨大クラッカーだよん!」
小柄な彼女がかかえていると、更に大きさが増したように錯覚させる。
「自家製ってそれ......危ないんじゃねえの?」
今朝の迷惑男もさすがに心配になったみたい。
私もそれには大賛成。
「大丈夫だよー。あ、雅くん、これ持ってて。私が紐ひっぱるからね!」
と、さっきの綺麗な人に(彼女曰く)クラッカー(らしいもの)を持たせる。
そして、彼女がひっぱると宣言した「紐」、いや、紐という言葉とはほど遠い、棒のようなものを掲げた。
「では、コホン。新入部員を迎えられた感謝を込めてーー......!」
バンッ!!
......目を開けると、黒く焦げた紙くずが宙を舞っていた。
彼女はといえば、
「あれ、おっかしーなぁ。もっと綺麗なはずだったのに」
大きな目をまた大きく開いて不思議そうにしていた。
焦げたのが紙吹雪(?)だけでよかった......
他の部員らしき人たちは、それぞれに紙くずをみつめるだけだった。
「まあ、いっか! さて、新入部員のみなさん。あらためてようこそー!
ああ、まずは部員紹介からだよね? じゃあ部長からどうぞ!」
彼女に指名された、部長らしき綺麗な人は、またもや単調な声で自己紹介をしてくれた。
「3年、倉沢雅。一応この部の部長らしい。」
らしい、って、先輩。
もしかして、まさかと思うけどこの人って、俗にいう「天然」ですか?
「雅くんは立派な部長だよー。で、私は3年、副部長の上条真野でーす!
えっと次、ケンカ上等、ヤンキー冬真! リズム崩さないでよ?」
例のあいつだ......
さっきから黙りこくっちゃってるけど、今朝の恨みは忘れないからね!
ーーいや、あっちも忘れてないだろうけど。
「変な紹介すんなよ。......2年の冬真沙凪斗。」
なぜか分からないけど、副部長には逆らえないようで渋々、と言った感じで自己紹介をされた。
なんなのよ、この態度!
だらしなく椅子にすわってこっちを睨んでくる冬真にまた腹が立ってきた。
「ここにいる部員のあいさつが済んだところで、新入部員さんの紹介をお願いしようかな? ......じゃあまず、そこの眼鏡君! おそろいだよねっ」
「え、え? 僕ですか!?」
「ああ、おまえだ」
「ええっと、あの......い、1年の、素乃太郎、ですっ......」
気の小さそうな小柄の素乃くんは、はなで笑う冬真を前に、「ひい」と小さく言ってまた縮まってしまった。
「うんうん、よろしくねっ! さて、次はそこの可愛い子!」
可愛いなんて、可愛い先輩に言われると余計に恥ずかしいんだけど......
なんて、考えてる場合じゃなかった!
私は自己紹介とともに、此処へ来た理由も簡単に説明した。
その間中、突き刺さるような約1名の視線に心が折れそうだったけど、この際気にしない!!
「ーーというわけで、ここが何部なのか知りたいんですけど......」
「ふむ、此処は何をする部か、か。俺もその答えが知りたいな。」
「そうだよねー。それが分かれば退屈しないのになぁ。」
「え?」
分からない?
この部に所属してる彼らが?
「だから」
それまで黙っていた冬真が、しびれを切らしたように口を開く。
「此処は他の部活になんの興味もない奴らが入る部なんだよ。いうなら、ただの暇つぶし場所だ。名前なんてもんはない」
はあ......
なんとなく読めて来た。
つまり、此処にいるみんなはあたしと同じような人達なわけだ。
「でも、よくそんな部が作れましたね」
「結構簡単なんだよー? この学校、部活動を推進してるから」
「でも、名前もない部なんて」
「......名前なんかより、その中身が重要だ」
なるほど。
さすが倉沢先輩、見た目のように美しい事をおっしゃいます。
名前より中身、かぁ。
確かにね。
此処なら私、なにか見つけられるのかな......?
「と、いってみたら簡単に許可がおりた」
......前言撤回。
ああ、私、上手くやって行けるのかな......
その日の入部式は、無駄に不安を押し付けて終了しましたーー