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Re: 悪天! ( No.1 )
日時: 2011/03/29 13:53
名前: 紫 ◆v9jt8.IUtE (ID: 6sz9.CTE)

一話 お届け物=人形


 さて、誰だろうか。このちんちくりんな人形を送って来たのは。明らかに送り間違いだよな、例え箱に俺の名前が書かれていたとしても!
 ふふ、同姓同名なんてこの世にいくらでも居るさ。だから多分これは送り間違いだ、そうに決まっている。と思いつつ住所が書かれている場所を凝視。何度も凝視。だけど事実は変わらない。
 何で俺なんだよ、何でこんなもんが俺に届いて来るんだよ。明らかに子供向けじゃねーかよ、俺は子供なんて作ってねーぞ。高校生で子作りなんて不純だ。多分。

 「何でこんなもんが……」

 漫画で言う小悪魔? って言う様な羽根のついた人形と天使って言ってそうなこれまた羽根のついている人形。俺は天使やら悪魔やらに興味は無いんだ。そうしてゴミ箱に捨てる……のは勿体無いな、新品だし。
 しかし、この人形、妙にオシャレだ。何で人形の癖にスカーフ巻いてヘソチラしてんだよ。何で人形の癖にタイツにギザギザスカートなんだよ。
 
 「ここに置いてても誤解されそうだしなー……」

誰かにあげようと思って立ち上がると、白い煙が上がった。誰だよ、煙玉なんかを投げたのは! 何にも見えねえじゃねーか! てかこれ俺の家なのになんで煙出てんだよ、不思議でならねーよ!
 
 「どこに行くだって?」
「おにいたーんっ」

ちょっと待って理解不能って言うか機能停止。どうなってんだ。とりあえず、誰かに襟首を掴まれて誰かに抱きしめられてるのは確かだ。多分、声質からして二人とも女。
 煙が上がって来た頃に、やっと目が機能してきた。正面には、うん、誰? 灰色に金のラメが入ったスカーフに、細身で長身。モデルの方かな? 目つきが悪くて何故だか目が赤でヘソチラ……ん? これはもしかして……。

「おにいたんっ!」

 考えは可愛らしい声に遮られた。どうやら、俺はこの声の主に好かれている様だ。何歳年下なんだろうかと思い声がした後ろを振り向く。俺の背骨に頬っぺたすりすり……? いや違う、問題はそこじゃないんだ。
 コイツ、俺と同じくらい、もしくは年上じゃね……? しかもコイツ天使の羽根生えてるぞ。ランドセル背負って背筋、ピーン! じゃないじゃない。正真正銘、背中から白い羽根が生えてるのだ。

 「待てお前ら、とりあえずそこに二人共並べ!」