コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ▼. ぶるーすかい / 短編集 【お題募集】 ( No.68 )
- 日時: 2011/11/19 10:44
- 名前: 花瑚 (ID: SG7XrUxP)
【平行な関係】
side A
どうして、こんなにも遠くなってしまったんだろう。
幼馴染の涼(りょう)は、いつだって私の一番距離が近い男の子だったのに。
もう、遠いよ。
どれだけ手を伸ばしても、届きそうにない距離。
可愛い彼女の隣で楽しそうに笑ってる男の子は、私の知らない涼。
*
私たちの距離感は、私が町はずれに引っ越した、あの時から変わってしまったんだと思う。
家が近所で一人っ子の私にとって、涼は私の兄貴分だった。
いつも強引で勝気で、でもたまに優しくて。
たまにだけどね、たまに。
だけどとろくて不器用な私に文句ばっか言いながらも、そばにいてくれてたよね。
すごく嬉しかったんだよ。
言ったことなんてないけど。
*
そんな涼とは、今年で8年連続同じクラス。
引っ越したあの時から、だんだんと距離が遠くなった。
ああ、今まで家が近かったから私たちは一緒にいれてたんだなって思い知った。
今では、1年で1回も話さないこともあるくらい。
私はあの頃から何も変わってない。
性格も見た目も。
少しは変わってほしいんだけど。
でも涼は、変わった。
昔よりも、何でもあけすけに話すようになって涼の周りにはいつも違う女の子がいる。
私みたいにとろくなんてなくて、ドジもかまさないような、細かい気遣いができる可愛い女の子。
今日だって、先週彼女と別れたばっかなのに、今度は由実ちゃんに告るんだとか言って、腰でズボンはいてるような友達たち言ってた。
はあああああ。
せっかく別れたと思ったのに。
2人がうまくいくことなんか、誰の目にも明らかで。
私じゃ叶わないことなんか、猿でも分かることで。
何度願っても、叶わない想いは涼の事を考えるたびに募るばかりで。
何でこんなに切ないんだろう?
何でこんなに私は泣かなきゃいけないんだろう?
すぐ、別れるなんて分かってるのに。
でも涼と2人並んでいる女の子たちは、涼に釣り合っていて。
うらやましくて。
見るたびに胸の奥が締め付けられるようで。
そうやって私は涼をだんだん見れなくなっていったのかな。
*
寒い。
私は一人、公園のベンチで凍えてた。
家で帰る気にはなれなくて、近所の公園にやってきた。
ポツンとあるベンチに、一人で座っていると虚しくなってきて、思わず涙がこぼれた。
涼は今ごろ、彼女とうまくやってんのかな。
そうじゃなかったらいいのに。
また涙が滲みだした私の視界に、急に何かが現れた。
頬にはあったかい何かが触れて。
「!!?」
顔を上げると、あったかいココアの缶を私の頬に押し付ける、長年想い続けた幼馴染の顔が。
*
涼は、私の隣にどかっと座ると、
「おい、祝えよ」
そう言った。
……何だうまくいってるじゃん。
わざわざ自慢しに来たんだ?
そう思ったら泣けてきた。
でも、
「今日は俺の失恋記念日だぁ」
そんなこと言うから、
「……ふられた……?」
「おい、いきなり傷えぐりにくんなよ」
期待するじゃん。
*
手渡された甘いココアの缶は、私の大好きなやつで、涼はブラックの缶コーヒー。
「は、お前手ぇ冷た」
急に、涼は私の手をつかんでそう言った。
…び、びっくりした。
一気に脈拍を上げる心臓の音が伝わってきて、単純な自分が恥ずかしくなった。
だけど、缶コーヒーで温まった涼の手は、とても心地よくて。
「てか何でお前泣いてんの?」
そう、涼が聞いてきたけど私は何も言えなくて。
「まさかお前もふられたの?……そうかそうか、一緒じゃん」
違いますけど。
でも失恋したことには変わりないんだけどね。
「お前さ……」
「…?」
「…なんでもねぇ〜よ」
そう言うと涼は私の肩に、もたれてきた。
涼は、私に一体何を言いかけたんだろう?
そう聞ける勇気は、まだ私にはなくて。
