コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

§桃太郎 ( No.28 )
日時: 2011/04/03 15:16
名前: 祐希 (ID: 3EnE6O2j)


【 桃太郎 】


 むかしむかし、あるところに。
 ——まあ桃太郎なんて言う小僧がいたのもあれだけど。

 俺の名前は、桃川太郎(ももかわ たろう)。通称:ももたろう。
 別に普通に たろう だったり、桃川だったり呼べばいいと思うわけだよ。俺としては!
 よりによって、なんで「桃太郎」と一緒なんだよ? 俺、別に強いってわけでもねえんだけど。
 しかも、中学になって一緒のクラスになったやつがこれまた難儀な名前で。


 「僕は、戌尾いぬお! よろしくね、ももたろう!」
 「俺は猿山さるやまだ。よろしくな」
 「私、雉本きじもと! よろしくねっ! あなたが噂のももたろうさんかな?」


 ……なんなんだよ、これ。何このデジャヴ。これアレだよな。完璧「桃太郎」だよな!
 ここまで揃うと本当に生まれ変わりなんじゃねえのか、とまで思えてくる。
 ああ、なんか気味悪いや。犬も猿も雉もいるんだぜ? しかも俺「桃太郎」だぜ?
 怖えよ、俺。明日から「鬼退治行け」とか言われんじゃねえの? そろそろ天からのお迎え来んの?
 うわー嫌だなあそんなの。俺まだ死.にたくないよ?
 とかなんとか言ってても、運命というものは変わらないもので。

 翌日、先生に告げられた言葉は、現実ではありえないものだった。


                               /


 「——は? 先生、いまなんて言いました?」
 「え? だから、『鬼ヶ島』を更生させてこいって。お前、風紀委員だろ?」
 「いや、風紀委員だけれどもですね。つか、なんで『鬼ヶ島』? 何ですか、俺に対しての嫌味ですか」
 「や、別にそういう訳でもねーのよ? 『鬼ヶ島』っつー奴がいんのよ。そいつヤンキーでさ」
 「で、学校に来ない……と。そういうわけですか。てかなんで俺に頼むんですか」
 「だからそれはお前が風紀委員だからさ」
 「ほかにも風紀委員いますよね!? なんでその中の俺に頼んだんですか!」
 「まあ、いいじゃないか。『桃太郎』さんっつーことで」


 っとまあ、全体的な会話文はこういうもので。
 そのあと、先生にぽんと肩を叩かれた俺。
 絶望に陥ったのもつかの間に、結局開き直って鬼ヶ島のところへ行った。
 まあ、そのときに気付いたんだが。

 『戌尾』『猿山』『雉本』……この3人も、結局風紀委員らしく。
 俺と、戌尾と猿山と雉本。つまり、桃太郎と犬と猿と雉は、4人仲良く鬼ヶ島(退治じゃねえけど)に行きました。

 たぶんこれ続くらしいぜ。
 この作者がやりきってねえらしいから。